ダンサフル&ファンクなジャズ 『Detente』
The Brecker Brothersの『Detente』(写真左)は、思いっきり、リリース当時の音楽のトレンドを反映したアルバムである。
時は1980年。米国ポップスのトレンドは「ダンサフル&ファンク」か「ソフト&メロウ」。前者は「ディスコ・ミュージック」と呼ばれ、後者は「AOR」と呼ばれた。フュージョン・ジャズの主流は「ソフト&メロウ」=「AOR」な、スムースなエレクトリック・ジャズ。しかし、ブレッカー・ブラザースの選択は違った。彼らは「ダンサフル&ファンク」=「ディスコ・ミュージック」を選択。
この1980年リリースの『Detente』は、徹頭徹尾、1曲目からラストまで、全てが「ダンサフル&ファンク・ジャズ」。しかも、演奏しているメンバーが、フュージョン・ジャズの精鋭たちときている。演奏のレベルは大変高く、一糸乱れぬアンサンブル、そして、素晴らしいテクニックと歌心で展開されるソロをベースに「ダンサフル&ファンク・ジャズ」が展開される。
当時、ハービー・ハンコックも、同様な「ダンサフル&ファンク・ジャズ」をやっていた。彼はシンセ&エレピをキュイキュイ歌わせながら、ファンクでディスコティックなジャズを展開していた。そして、ブレッカー・ブラザースは、ランディのトランペットとマイケルのテナーの2管をブイブイ歌わせながら、ファンクでディスコティックなジャズを展開していた。
演奏自体は、ファンクでディスコティックなジャズなんだが、ランディのトランペットとマイケルのテナー・サックスの演奏は全くもって申し分無いレベルで素晴らしい。淀みなく流れるフレーズ、歌うようなアドリブ・ライン。ここまで素晴らしいブロウを繰り広げるのなら、メインストリームなジャズのフォーマットでやって欲しいなあ、と心から思った。それほどまでに素晴らしい、ブレッカー兄弟のブロウである。
ファンクネス溢れるダンサフルなフュージョン・ジャズなんだが、ファンクネスの雰囲気は「R&B」しかも「モータウン」の芳しき香りがそこかしこに漂う。この「モータウン」の香りが、他の「ダンサフル&ファンク・ジャズ」と一線を画するところ。つまりは、この「R&B」と「モータウン」の香りが、ブレッカー・ブラザースの個性のひとつである。
とにかく、聴いていて楽しいし、演奏のレベルは高くて聴き応えがある。しかし、日本ではこのアルバムは受けが悪かった。そもそも、日本では、「ダンサフル&ファンク」=「ディスコ・ミュージック」は大衆的な音楽、庶民的な音楽として、ちょっとランクを低く評価されていたように思う。演奏のレベルは高く、収録された楽曲もなかなかの出来なのに拘わらず、である。
でも、今の耳で聴き返してみると、やっぱり、このアルバム、良い感じですね。全編に渡って、ダンサフルでファンクでディスコティックなジャズですが、曲毎にリズムやアレンジが良く工夫されていて飽きません。そして、ブレッカー兄弟のブロウの素晴らしさ。再評価されるべき、ダンサフルなアルバムだと思います。
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