ほわほわ不思議なボサノバ 『Linda Flor』
菊丘ひろみは、ジャズ・シンガーではなく、出身は純粋なボサノバ・シンガー。ほわほわした、ボサノバならではの不思議な雰囲気に惹かれて、彼女のデビュー盤を入手した。Hiromi Kikuoka『Linda Flor』(写真左)。2002年8月のリリース。
菊丘ひろみはボサノバ・シンガー、ただし、このアルバム全体を占める雰囲気はボサノバ・ジャズの雰囲気がプンプン。バックの演奏もしっかりしたものだし、サンプリングや打ち込みなど、現在の流行のリズム作りも見え隠れし、わざとノイズを効果音として取り入れるなど、最新の流行を取り入れた、いわば、新しいボサノバ・ジャズ的雰囲気なのだ。
それと、このアルバムの特徴は、歌唱はすべてポルトガル語で歌われていること。久しぶりに腰を据えて、ポルトガル語のボサノバを聴いた訳だが、やはり、ボサノバの歌唱はポルトガル語がベストやねえ(ただ、何を歌っているか、さっぱり判らんけど・笑)。
ポルトガル語の歌唱によって、 ボサノバ特有のけだるさ感がクッと濃厚になる。その濃厚さは聴いた時の心地よさにつながり 「癒し」につながる。
彼女のアルト・ボイスは、ボサノバの癒しの感覚にぴったりとフィットしている。アルバムに収録されている曲も、ボサノバの世界では定番と呼ばれるものばかりで、その定番ソングを最新の録音技術をバックに新たな感覚で聴かせる、なかなかにニクイ演出をしてくれるアルバムだと言える。
それと、実は正直に白状すると、このアルバムを購入する直接のきっかけになったのが、ジャケットのデザイン。このアルバムのジャケット・デザインは秀逸だと思うんやけど、どうやろ。
文字ロゴの配置や顔写真とのバランス、全体の色合いなど、なかなかなもんやと思います。LPの時代とは違って、CDはジャケットの面積が狭く、デザイン的に腕をふるうチャンスが少ないのだが、なんせ、ジャケットはアルバムの「顔」。CDになって、その面積が狭くなったとはいえ、印象に残る、優れたジャケットデザインを、もっと輩出して欲しいと思うのは僕だけだろうか。
このアルバム、雰囲気良し、ジャケット良し。「ニュー・ワイン・イン・オールド・ボトル」という諺がぴったりの素敵なボサノバ・ジャズのアルバムです。
★大震災から2年3ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 南から来た男・秀逸セカンド盤 | トップページ | ユニークで新鮮な感覚のボーカル »
コメント