ロッドが歌うスタンダード第3弾
この人は幾つになっても歌が上手い。ロック界において、不世出のボーカリストである。そんなロッド・スチュワートが、ジャズ・スタンダード曲をカバッたアルバムのシリーズ「The Great American Songbook」。その三作目が、Rod Stewart『Stardust...The Great American Songbook: Vol. III』(写真左)。
この第3作目も、前の2作と同様、選曲が良い。絶対に外せない「ど・スタンダード曲」もあるが、知る人ぞ知る、隠れた名曲的なスタンダード曲もある。とにかく「渋い」。とにかく「クール」。
そして、この第3作目、ゲストが豪華。スティービー・ワンダー、エリック・クラプトン、ベット・ミドラー、ドリー・パートン、アルトゥーロ・サンドヴァール、デイヴ・グルーシン、デイヴ・コズら、ロックやポップス、フュージョン界の大物がズラリと名を連ねている。そして、それぞれの大物とのコラボが非常に良い成果を生み出しているのだから凄い。
フュージョン・ジャズ畑のキーボード奏者をフォーカスしてみると、3曲目「Blue Moon」ではJoe Sampleが、「S'Wonderful」と「I Can't Get Started」ではDave Grusinがピアノで参加しています。このフュージョン・ジャズ畑のキーボード奏者の伴奏ピアノが実に良い雰囲気で、ついつい聴き惚れてしまいます。
ジャズ以外のロック・ポップス畑のシンガーがジャズのスタンダードを歌うという企画は、リンダ・ロンシュタットやカーリー・サイモン、ボズ・スギャッグスなど、今となっては全く珍しく無い企画です。
しかし、ロッドの「The Great American Songbook」は全4作と本格的なもの。一枚だけ企画盤作って終わり、っていう単発ものでは無い、というところが素晴らしい。本気を感じる。
ロッドの甘く掠れた、それでいて芯のある独特の声質が、こんなにジャズ・スタンダード曲に合うとは思わなかった。味のある声、味のある歌唱。曲によって歌い方を変えるなんて事はしない。どの曲もロッドの歌唱であり、ロッドの声質である。良い意味での「金太郎飴」。でも、飽きが来ない。逆に「金太郎飴」的なところが心地良い。
「Embraceable You」や「Stardust」や「A Nightingale Sang In Berkeley Square 」など、スローなバラードをじっくり歌い上げるロッドが素晴らしい。確かにこの人は、ブルーズやロックのみに留まる器のボーカリストでは無い。年を重ねて、やっと異種格闘技的にジャズ・スタンダード曲をカバーする気になったんだろうな。
ロックの世界では、不思議と「オリジナル・ナンバー至上主義」的な雰囲気が昔からあって、スタンダード曲のカバーなんて商業主義に走った「終わったロック野郎」の仕業だと決めつける向きもあるが、僕はそうは思わない。
優れたボーカリストは、特定の音楽ジャンルやオリジナル曲に縛り付けるものではないだろう。もっと様々な音楽ジャンルやスタンダード曲のカバーに挑戦して、ボーカリストとしての新たな魅力を、もっともっと楽しませて続けて欲しいと思っている。
大震災から2年4ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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