こんなアルバムあったんや・21
カリブ生まれの打楽器であるスチール・ドラムは、生まれも近いジャマイカの音楽、レゲエの演奏ではよく活用されるのですが、ジャズでフィーチャーされたアルバムも結構な数があるんですね。
今日は、純ジャズ系のアルバムの中で、スチール・ドラムをフィーチャーしたアルバムを一枚、ご紹介しましょう。Monty Alexander『Ivory & Steel』(写真左)。1980年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Monty Alexander (p), Gerald Wiggins (b), Frank Gant (ds), Robert Thomas Jr. (per), Othello Molineaux (Steel-ds)。
このアルバムのタイトル「アイボリー&スティール」とは、直訳すると「象牙と鉄」。つまり、象牙を「ピアノ」にかけ、鉄を「スチール・ドラム」にかけた、結構、洒落たタイトルなのだ。
が、ジャケット・デザインが「象と溶鉱炉」という、実に直接的かつダサいデザインの故に、「このアルバム、大丈夫なのか」とちょっと購入を躊躇ってしまうような、いわゆる「ジャケ買い」に反するアルバムなのだが、ご心配無く(笑)。
ピアノのモンティは、ジャマイカ出身で知られる、オスカー・ピーターソン系のハッピー・スインガー。ハッピ・スインガーのモンティのピアノに、モリノーのスチール・ドラムがフィーチャーされるのだから、もう聴く前からワクワクする。とにかく明るくて、楽しい雰囲気がたまらないアルバムです。
出だしの1曲目「Happy Lypso」。カリプソ調の曲調に乗って、モンティのピアノとモリノーのスチール・ドラムのユニゾンが出てくると、もう気分はカリビアン。踊り出したくなるような、明るいノリの良い、実に楽しいカリプソ・チューンだ。「もうここはジャマイカ!」って感じでノリノリになるが、曲も終わりがフェード・アウトなのが惜しい。
続く2曲目の「Cavatina(ディア・ハンターのテーマ)」は、ロバート・デ・ニーロが主演した同名映画からの印象深い曲。ここでは、スチール・ドラムが印象的な旋律を奏でる。スチール・ドラムは、カリブの、単なるお祭り的な打楽器のみではない。立派な旋律楽器でもあることを、この演奏は教えてくれる。
3曲目の「Montevideo」は、モンティとモリノー、2人のデュオが印象的なナンバーだが、良く聴いていると、ちょっとスパニッシュな雰囲気と職人的なデュオのテクニック連発なところ、チック・コリアとゲイリー・バートンのデュオに似てる(こちらは、ピアノとバイブだけど・・・)。スチール・ドラムは実に情熱的だ。こちらのデュオはどこまでも楽しく、そして「熱い」。
以降「That's The Way It Is」や「Work Song」など、ファンキーな定番曲あり、「Stella By Starlight」のようなスタンダード曲や、「Street Life」などのフュージョン曲のカバーありで、ちょっとだけ「しっちゃかめっちゃかな選曲」だが、全曲、ファンキーでグルービーで楽しい、ノリノリ感が楽しい、「夏アルバム」です。
いやいや〜、こんなアルバムあったんや〜、ですね(笑)。スチール・ドラムの音って、夏には欠かせなくなりました。
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