80年代MJQサウンドの完成形
マンハッタン・ジャズ・クインテット(以降、MJQと略す)のアルバムには、駄作がありません。どれもが水準以上の出来を保っているので、どのアルバムを選んで聴くかは、皆さん各々の選択基準で選んで差し支えないと思います。ですが、先ずは、デビュー盤から3作目までの、MJQのコンセプトが形となって定着するまでの初々しい盤を聴くのが良いでしょう。
今日は、その第3作目『My Funny Valentine』(写真左)です。この3作目からは、オリジナル・メンバーだった、ベースのチャーネット・モフェットが退団し、代わりにエディ・ゴメス(写真右)がベースに加わっています。
ゴメスはスティーヴ・ガッドと共演も多いので間柄で相性も良く、丁々発止と変幻自在なベテランの技を見せつけてくれます。やはり、ガッドのドラムには、ゴメスのベースの方が相性が良いですね。このリズム・セクションの技に耳を傾けているだけでも楽しい第3作です。
このゴメスとガッドのいわゆる「デジタルチックなリズム・セクション」が、このMJQの特徴である「デジタル録音時代の新しいフォービート・ジャズの形」を更に発展させています。選曲も、この「デジタル・リズム・セクション」の特徴を活かせる曲を優先して選曲されているのが「ニクイ」。
この第3作目でも、相変わらず、マシューズのアレンジは冴え渡っています。どの曲も素晴らしい演奏ばかりですが、個人的には、ビリー・ジョエルの「New York State Of Miind(ニューヨークの想い)」が大のお気に入りです。
僕にとって、この曲、ビリーのオリジナルについても大好きな曲でして、MJQが、どうしてこの曲を選んで、ジャズ化したのかは判りませんが、素晴らしい選曲だと思います。 今から思えば、ニュー・スタンダードの走りですね。今ではしっかりと、ジャズ・スタンダードの1曲になっています。
MJQはこの3作目で、グループとしてのサウンドがひとつの完成形に達した感があります。結成当初のコンセプトであった「日本人好みの当時最先端のメインストリーム・ジャズ」から「日本人好み」の部分が取れて「当時最先端のメインストリーム・ジャズ」のひとつの形を提示したものと僕は思っています。
難しくなく、聴き易く、それでいて、結構、マニアックな事もやっている。ジャズ者初心者からベテランまで、様々な角度から楽しめる、非常に優れたグループ・サウンズだと思います。
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