「Feels So Good」の一発屋
「チャック・マンジョーネ(Chuck Mangione)」と言われて、まず浮かぶのが、フュージョン界でのフリューゲルホーンの名手。そして、ヒット曲の「Feels So Good」。さて、その次は何が浮かびますか、と問われて・・・、う〜ん、これが何も浮かばないのですね(笑)。それほど「Feels So Good」の印象が強い、愛すべき「これ一曲」の一発屋です。
それほど、当時(1977から78年)、この「Feels So Good」は、日本でも売れに売れた。喫茶店の有線に乗って、1時間に1回は、この「Feels So Good」が流れていたのではないか。今日は、それほどに「耳タコ」の「Feels So Good」をフューチャーした大ヒットアルバムについて語りましょう。
その大ヒットアルバムとは、Chuck Mangione『Feels So Good』(写真)。このアルバムは、フュージョン界のフリューゲル・ホーン奏者チャック・マンジョーネの1977年発表の大ヒットであり代表作。
フュージョン・ジャズというジャンルは、純ジャズの様なインプロビゼーションのひらめきやアドリブの応酬など、瞬間の瞬間の突発的な要素はあまり重視されず、その卓越した演奏テクニックや演奏曲のメロディや展開の美しさ・聴き易さ、印象的なリズムやアレンジが重視される傾向にある。
チャック・マンジョーネは、このアルバムの冒頭を飾る「Feels So Good」という名曲1曲で、その名をフュージョンの歴史に名を残したペット奏者である。
名曲「Feels So Good」は、演奏曲のメロディや展開の美しさ・聴き易さ、印象的なリズムやアレンジが秀逸。フュージョン・ジャズの申し子の様な曲であり、演奏である。チャック・マンジョーネは、この「Feels So Good」一発で終わった「単発屋」でもある。
チャック・マンジョーネの吹くフリューゲル・ホーンは決して巧くない。ミストーンも散見される。マンジョーネって、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズにも在籍していたんですよ。でも、このアルバム『Feels SoGood』のプレイを聴く限り、マンジョーネのフリューゲル・ホーンはあまり巧くない。
それでも「Feels So Good」という曲は、それはそれは印象的なテーマと、美しいことこの上ないチャックのフリューゲル・ホーンの音色、そして、その美しい旋律とメロウなアレンジ、ミドルテンポな聴きやすいリズム&ビートで、この曲は大ヒットした。
この大ヒットした「Feels So Good」を冒頭に配し、大ヒットの勢いそのままにリリースされたのがこのアルバム『Feels So Good』。この典型的なフュージョンのアルバムは、チャック・マンジョーネをはじめとして、 バンドのメンバーは、全て、スタジオ・ミュージシャンあがりばかり。
ちなみにパーソネルは、Chuck Mangione (flh, el-p), Chris Vadala (ss, as, bs, fl), Grant Geissman (g), Charles Meeks (b), James Bradley Jr. (ds)。
Chris Vadalaのサックスがエモーショナルでメロディアスで力強くて印象的。テクニック豊かなGrant Geissmanのエレギも良い。Charles Meeksのメロディアスで重低音なエレベが演奏の底をしっかりと支え、James Bradley Jr.の堅実な縦ノリドラムが演奏全体をグッと引き締める。実は、この「Feels So Good」、バックバンドの演奏の優秀さに負うところが大きい。
アルバム全編通して聴いてみると、確かに「Feels So Good」は良くできた曲だが、よりフュージョン的な演奏としては、2曲目の「Maui-Waui(マウイ・ワウイ)」が素晴らしい出来だと僕は思う。僕の中では、この「Maui-Waui」のフュージョンな演奏で、このバンドの演奏が軽音楽ではなく、正当なフュージョンバンドとしてのポジションをキープしている。
しかし、3曲目以下は「ジャジーな軽音楽的+仰々しく単調なアレンジ+オーケストラの存在」が、ちょっと純正フュージョンというには気恥ずかしい。
「Feels So Good」を聴くと、なぜか学生時代の夏の夕暮れ時の夕焼けを思い出す。 なんだか懐かしくて、ふんわりと心地よい気持ちになる。この曲、いまやすっかり僕の中では「ナツメロ化」してしまった。
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