ジャズ・ロックには春が良い
春になると、ジャズ・ロックが聴きたくなる。というか、ジャズ・ロックは春に似合う。夏は8ビートが暑苦しくていけないし、秋はジャズ独特の哀愁を帯びたマイナー調のフレーズが淋しくていけない。冬はジャズ・ロック独特の音の隙間が寒くていけない。
ジャズ・ロックには春が良い。明るい8ビートが春風にピッタリ。ジャズ独特の哀愁を帯びたマイナー調のフレーズも、そこはかとない春の儚さをイメージさせて、なかなか良い。ジャズ・ロック独特の音の隙間も清々しく感じるから不思議だ。
そんなジャズ・ロックの中でも、更に春にバッチリ合うアルバムが幾つかある。そんな中の一枚が、Gary Burton『Duster』(写真左)。1967年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Larry Coryell (g), Steve Swallow (b), Roy Haynes (ds)。
ロック調らしい疾走感溢れる展開の曲も、緩やかで静的なアブストラクトな展開の曲も、明るくポジティブな曲も、インプロビゼーションが中心のジャジーな展開の曲も、どこか軽快で明るくて、清々しくて爽快な雰囲気で、そんなところが春の雰囲気にピッタリとフィットするんだろう。
そして、恐らくは、ゲイリー・バートンのヴァイブの音が、そう、ジャズには珍しい、ヴァイブの透明感があってリリカルで爽快感のある音が、きっと春の雰囲気にバッチリと合うんだろう。確かに、このアルバム『Duster』を聴いていて強く思う。春の雰囲気に、8ビートに乗ったヴァイブの音がバッチリと合うんだ。
そして、当時、まだ無名だったギターのラリー・コリエルの音が良い。正統派でリリカルでシャープな音と、ちょっとアブストラクトで、少しくすんで捻れている音が、春の持つ優しさとそこに潜む狂気を感じさせて、これまた春の雰囲気にバッチリと合う。
意外と今の耳で聴いても古さは感じない。エレクトリックな楽器の音は確かに古いが、それは仕方が無い。でも、演奏全体のアレンジ、グループサウンズの展開、メンバーそれぞれのインプロビゼーション、どれもがなかなか格好良いのだ。
8ビート基調のシンプルなリズム&ビート中に、ジャズ独特の複雑な音のテイストが漂っていて、これがなかなか格好良い。演奏のテクニック、レベル共に高く、かなり複雑な展開も楽々とこなしているところが凄い。
ゲイリー・バートンのジャズ・ロックなアルバムには優れたものが多い。このブログでも、これまでの幾枚かご紹介している。 2007年6月9日のブログ(左をクリック)で『Alone At Last』、2008年2月14日のブログ(左をクリック)で『Gary Burton & Keith Jarrett』、2008年2月18日のブログ(左をクリック)で『The New Quartet』。いずれもジャズ・ロックの佳作として十分に楽しめます。
そんな中で、今回ご紹介の『Duster』は、曲、演奏共にピカイチの内容です。ジャズ・ロックのファンの方には是非ともお薦め。良い感じのジャズ・ロックです。
★大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« Carpentersの最高傑作です。 | トップページ | 注目の大和撫子ジャズ・ピアノ »
コメント