オーネットの初リーダー盤です。
オーネット・コールマンと言えば、限りなく自由度の高い、規則やアレンジやコード進行に縛られないが、なんらかの取り決め、なんらかの決めごとに則って、フリーキーな風に吹いている即興演奏、が個性だと思っている。
しかし、最初からそうじゃなかっただろう。そりゃ〜そうでしょう。基本的に他のメンバーがついてこれないでしょう。そう、その様子が良く判るのが、オーネット・コールマンの初リーダー作。
1958年2月10日、3月24日の録音。Contemporaryレーベルからのリリース。Ornette Coleman『Something Else!!!!』(写真左)。何故かタイトルにビックリマークが四つも付いている。ちなみにパーソネルは、Ornette Coleman (as), Don Cherry (cor), Walter Norris (p), Don Payne (double-b), Billy Higgins (ds)。
後の盟友となるDon Cherry(ドン・チェリー)はしっかりとメンバーに入っている。初期の頃、ドラムを担当したビリー・ヒギンスもいる。しかし、他のメンバーについては、僕はあまり知らない。まあ、当時、相当に変態アルトだったオーネットのデビュー作に付き合うジャズメンもなかなかいなかったんだろうなあ。
このアルバムを聴くと、オーネット以外のメンバーの演奏スタイルは、当時の先端を行く自由度の高いハードバップ。そんな中に、おもいっきり外れて、不思議なコード進行に乗って、オーネットが一人勝手に吹きまくる。
このオーネットの一人勝手気ままなブロウを聴いていると、確かに、限りなく自由度の高い、規則やアレンジやコード進行に縛られないが、オーネット自身がなんらかの取り決め、なんらかの決めごとに則って、フリーキーな風に吹いている。もうこの頃から、オーネットはオーネットなのね。
しかし、他のメンバーの反応が面白い。このアルバムのリーダーはオーネットである。きっと、演奏の前に、簡単ななんらかの取り決め、なんらかの決めごとがあったに違いない。各メンバーとも一生懸命、オーネットに追従しようとするんだが、皆、従来のハードバップなマナーから抜け出ることが出来ない。
皆、従来からの伝統的なハードバップな演奏スタイルから抜け出ることが出来なくて、もがいているところに、オーネットだけが一人だけ「外れて」、自由度の高い、規則やアレンジやコード進行に縛られないブロウを繰り広げている。確かに、オーネットだけが突出している。まあ、ユニークと言えばユニーク。外れていると言えば外れている。
そんな中、後の盟友となるドン・チェリーだけがなんとかしようと懸命になって、オーネットに追従しようとしているのが良く判る。基本的に理屈では無く感覚なんだろうが、どうしても理屈で追従しようとして、かえってハードバップ風に展開してしまったりして、苦闘しているドン・チェリーが実に健気である。
このアルバムに収録されている曲は全てオーネットのオリジナル曲であるが、どの曲も実にユニークで実に良い曲ばかり。スタンダード至上主義にはありえない、どう考えたってそういう風にコード進行しないでしょう、というコード進行を人工的に作って、そこにその捻れたコード進行に従ってフレーズを紡いでいる、という感じの不思議な響きのする曲が実にユニーク。
このデビュー盤は、オーネットのユニークな個性と、優れた作曲の才能を愛でる盤だと言えるでしょう。全体的には、硬派なハードバップの域を出ていない、意外と伝統的な演奏に留まっているので聴き易いです。
普通のハードバップ・マニアの方々にも、あまり違和感は無いでしょう、オーネットのアルトのフレーズを除いては(笑)。まあ、ビックマークが四つも付くはずです。
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