32年ぶりに再会できたアルバム
フュージョン時代のマイナーなアルバムは、なかなかCDでリイシューされない。メジャーなヒット盤は、リマスター、紙ジャケと幾度も手を替え品を替え、リイシューされている。しかし、良い内容でありながら、なかなか売上に恵まれなかった盤は、滅多にリイシューされない。どころか、LP時代から、全くリイシューされない盤も多々ある。
LPで所有していて、時々、レコードプレイヤーに灯をともして聴ける盤はまだ良い。問題は、LPで所有していなくて、全くリイシューされない優秀盤の場合である。
最近、「オンデマンドCD」というサービスが開始されている。オーダーを受け、生産を開始するシステムで、リクエストして、手元に来るまでに一週間程かかるとのこと。一週間程度で手元に来るのならば全く問題ないですね。オリジナル音弦から銀盤CD-Rにライティングしたもので、内容はオリジナルと同様、音質もCDと同レベルで収録。ジャケット及び歌詞カードは、可能な限りオリジナル商品より復刻、転載。ええやないですか。
この「オンデマンドCD」のお陰で、32年ぶりに再会できたアルバムがある。向井滋春モーニング・フライト『マルガリータ』(写真)である。1980年12月の録音、1981年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、向井 滋春 (tb), 佐山 雅弘 (key), 廣木 光一 (g), 斉藤 誠 (b), トニー木庭 (ds), ペッカー (per)。
密林でこのアルバムを見つけた時は、懐かしくて嬉しくて、即「ポチッとな」(笑)。純和製のフュージョン・グループの素敵な音である。
向井滋春モーニング・フライト名義でのファースト・アルバム。ワールド・ミュージックの要素を取り入れた、内容秀逸なフュージョン・ジャズ。純和製フュージョンではあるが、テクニックは優秀。素晴らしい演奏が繰り広げられている。
ワールド・ミュージック的な雰囲気を織り交ぜた演奏としては、「ハイ・ドナン」はトロピカル・イメージ、のんびりとした南国のイメージ。タイトル曲の「マルガリータ」ではラテンリズムが全開。「マカオズ・レディー」は東南アジアな音世界、「シュリー」は中南米カリブのイメージ。LP時代のA面を占める楽曲はどれもがワールド・ミュージック的な雰囲気が素敵である。
B面は、当時最先端のフュージョン・ミュージックが満載。テクニックが必要なんだが、この向井滋春モーニング・フライトのメンバーはいずれも申し分無いハイ・テクニックの持ち主ばかり。素晴らしいテンションの素晴らしい展開、素晴らしいアレンジの演奏がずらり4曲。
特に、キーボードの佐山 雅弘(裏ジャケの写真が若い)とベースの斉藤 誠が凄まじいばかりのインプロビゼーションを聴かせてくれる。ギターの廣木 光一も電光石火のフレーズで疾走感抜群。そんな中、リズム&ビートをトニー木庭が押さえて、向井滋春のトロンボーンがフワッと浮かび上がる。グループサウンズ重視の展開。適度な間と緩やかさが個性の日本のフュージョン。
32年ぶりの再会、嬉しかったですね〜。あの頃のヘビロテ盤。今の耳で聴いても優秀盤。あの頃の自分の耳も捨てたもんやないな、と思わず自画自賛してしまいました(笑)。
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いま、30年ぶりくらいにLPを整理していたらこのLPがでてきてなつかしかったです。34年前に高校卒業してすぐの浪人時代の数か月銀座のスイングでウエイターのバイトをしたときに佐山さん木庭さんもときどき出ていて売れてないけどすごい人たちだなと思っていて、その後これを購入したのを思い出しました。トニー木庭さんていまどうしてるのかなとなんとなくネットで調べて偶然このブログを開きました。そのころまだ売れてない人でも光っていた人たちのなかで、世に出る人そうでない人、人生いろいろだなと思いました。
投稿: イケ | 2014年1月26日 (日曜日) 06時17分