« アバの名盤『Arrival』を愛でる | トップページ | ビリー・ハーパーをもう一丁 »

2013年2月24日 (日曜日)

『A Song for You』を愛でる

アバ(ABBA)と並行して、カーペンターズ(The Carpenters)の聴き直しもしている。これが、また良いんですよね。今の耳で聴き直してみると、結構、素晴らしい内容のアルバムが目白押し。

さて、ヒットソングと優れたポップスソングをバランス良く散りばめた、カーペンターズの数あるアルバムの中で、この『A Song For You』(写真左)が、ナンバーワンのアルバムだろう。

カーペンターズは、どちらかというと、アルバムを通してコンセプトで攻めるタイプでは無く、シングル・ヒット・メーカーとしての「コンスタントな一発屋」としての実力が高いと僕は感じている。このアルバムだって、トータルなコンセプトをベースとしたアルバム作りというよりか、シングル・ヒットを狙って作成された曲の積み上げという印象が強い(どの曲も1曲の所要時間も3分前後から4分弱と短い)。

とにかく、このアルバムを通して聴くと、シングルカットされた曲もそうでない曲も、どれもが全てどこから聴いても、頭のてっぺんから足のつま先まで、何から何までが「カーペンターズ」なのだ。

どの曲を取っても、どの曲をシングルカットしてもヒットするであろう、素晴らしい歌曲の数々が、これでもかこれでもかと畳みかけてくる。続けて聴くと息苦しくなるような、密度の高いアレンジとコーラス。とにかく、何から何まで素晴らしい。そんな、当時のカーペンターズの飛ぶ鳥を落とす勢いを、ひしひしと感じることが出来る、重厚な内容となっている。

ちなみに、オリジナルのアルバム・ジャケットは写真左のもの。写真右のものは、日本で1972年に発売された時のアルバム・ジャケット。いやはやオリジナル尊重なんて「どこ吹く風」。この日本のレコード会社の暴挙。今となっては懐かしいです(笑)。

収録曲は以下の通り。中学生の頃から高校生の頃が、僕のカーペンターズのリアルタイム体験の時代なんだが、曲名については、まずは邦題で覚えているので、 このブログでのカーペンターズの曲の紹介時には邦題を採用させて頂きます。但し、原題が類推し難い「どーしてそうなるの」的な邦題もあるんで、原題も並記しておきます。
 

A_song_for_you

 
1. ア・ソング・フォー・ユー(A Song for You)
2. トップ・オブ・ザ・ワールド(Top of the World)
3. ハーティング・イーチ・アザー(Hurting Each Other)
4. 小さな愛の願い(It's Going to Take Some Time)
5. 愛にさよならを(Goodbye to Love)
6. インターミッション(Intermission)
7. 動物と子供達の詩(Bless the Beasts and Children)
8. フラット・バロック(Flat Baroque)
9. ピアノ・ピッカー(Piano Picker)
10. 愛は夢の中に(I Won't Last a Day Without You)
11. クリスタル・ララバイ(Crystal Lullaby)
12. 明日への旅路(Road Ode)
13. A Song for You (Reprise)

冒頭、あのカーペンターズの代表的シングル曲「スーパースター」を作曲したレオン・ラッセルの隠れた名曲「ア・ソング・フォー・ユー」で幕を開ける。艶やかなカレンの歌声。オルガンを上手く使った、アメリカン・ルーツ・ミュージックを想起させるアレンジ。アメリカン・ルーツ・ポップとして十分評価出来る、リチャードの完璧なまでのアレンジ。そしてそこに、カーペンターズ独特の「エコー」が乗る。

2曲目は、当時、日本で大ヒットした「トップ・オブ・ザ・ワールド」。1971年、中学生だった僕が、歌謡曲から、ポップスひいてはロック、ジャズへと足を踏み込んだ記念すべき曲がこの「トップ・オブ・ザ・ワールド」。当時は、親父から譲り受けたトランジスタ・ラジオで、深夜放送のリクエスト番組を聴きながら、これらのポップスの名曲の数々をリアルタイムで聴いたものだ。

そして、5曲目の「愛にさよならを」で、メロディアスで印象的なギター・ソロを聴かせてくれるのは、トニー・ベルーソというギタリスト。彼の官能的な響きのエレギとカーペンターズ独特のコーラスとエコー、いまでもジーンときます。

そして、僕のもう1曲のお気に入りは、10曲目「愛は夢の中に」。原題は「I Won't Last a Day Without You」。なんでこの原題が「愛は夢の中に」になったのか理解に苦しむが、楽曲としては、素晴らしい、としか形容できないラブ・バラードの絶品。「But I won't last a day without you」、意訳すると「でも貴方が居ないと生きていけないと思うの」って感じになるのでしょうか。カレンが切々とシットリと歌い上げます。

このアルバム『A Song For You』は、とにかく美しい、とにかく感動的な「これぞカーペンターズ」と言える絶品揃いの名盤です。

  
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。

がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« アバの名盤『Arrival』を愛でる | トップページ | ビリー・ハーパーをもう一丁 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『A Song for You』を愛でる:

« アバの名盤『Arrival』を愛でる | トップページ | ビリー・ハーパーをもう一丁 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー