脳髄にガツンと来る即興演奏 『Without a Net』
Wayne Shoterの『Without a Net』(写真左)。サックスの巨人、ウェイン・ショーター、43年ぶりのブルーノートへの復帰作。ショーターって80歳。そんなショーターの力作である。
2005年、Verveからリリースされた『Beyond the Sound Barrier』から8年ぶりになる新作である。もともと寡作のショーター、宇宙と通信出来ないとアルバムを出さないのかもしれない(笑)。
僕がジャズを聴き出した頃、今を去ること35年ほど前、ジャズ・テナーの第一人者は、10年ほど前に亡くなったコルトレーン。続くは、ウェザー・リポートに参加していたウェイン・ショーター。僕はウェザー・リポートが大好きだったので、ウェイン・ショーターには早くから馴染みがあった。
しかし、コルトレーンは判り易さと難解さが混ざり合っていて、ジャズ者初心者でも何とか判る部分があるんだが、ウェイン・ショーターは難解。ウェザー・リポートのウェイン・ショーターは、ウェザー・リポートに合わせているので、まだ判り易いが、ウェイン・ショーターのリーダー作は「ちょっと難解」。
リーダー作のショーターは、限りなくフリーな、思いっきりモーダルなインプロビゼーションと、完全にフリーなインプロビゼーションが中心。そりゃあ、ジャズ者初心者には判り難いよな。
『Without a Net』は、去年10月〜11月の欧州ツアー時のライヴ録音が中心。凄い演奏がてんこ盛り。ちなみにウェイン・ショーター・カルテットのパーソネルは、Wayne Shorter (ss,ts), Danilo Perez (p), John Patitucci (b), Brian Blade (ds)。素晴らしい人選ですね〜。素晴らしいリズム・セクションです。
さて、今回のショーターの新譜『Without a Net』、冒頭の「Orbits」を聴くと直ぐに判る。あの頃のショーターが帰ってきた。バリバリ尖っていた、1960年代後半から1970年代のショーターが戻って来た。思いっきりモーダルで、完全にフリー。凄まじいテンションで、バリバリに吹きまくっている。
ちなみに、6曲目の20分を越える「Pegasus」だけは、それ以前に、ロサンゼルス、ウォルト・ディズニー・コンサートホールで、木管五重奏団のイマニ・ウィンズを迎えて録音されたもの。音の叙情詩の様な演奏。これも「あの日のショーター」。
決して判り易い演奏ではありません。しかし、即興演奏としてのジャズを改めて想起させてくれる、徹頭徹尾、即興演奏の素晴らしさが満載です。典型的なジャズ・インプロビゼーションがこのライブ盤にギッシリと詰まっています。ジャズ者10年選手、ジャズ者中堅〜ベテラン向けの難易度ですね。
このライブ盤の演奏は、ジャズに聴き馴れ、ジャズをまずまず理解したジャズ者の方々にとっては、脳髄にガツンと来る様な即興演奏です。繰り返し聴けば聴くだけ、新しい発見があるようで、どうもこのショーターの新譜は、暫くヘビーローテーションになりそうな気配です。
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