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2013年1月25日 (金曜日)

一期一会の素晴らしい出会い 『Like Minds』

ジャズのパーソネルの組合せは、基本的に演奏面における相性で決まるのが大半だろう。ジャズの演奏に対するスタイル、嗜好、考え方など、演奏の方向性についての相性が良いメンバーをリーダーは集めるのだろうと推察される。

しかし、中には、ジャズメン同士の演奏の方向性についての相性はともあれ、共演するジャズメン同士の意向はさておき、我々、聴く側だけから感じる「演奏する音の相性」がとびきり心地良い組合せというのを幾つか経験してきた。

例えば、僕の一番のお気に入りピアニストの一人、チック・コリアと、これまた僕の一番のお気に入りのギタリストの一人、パット・メセニー。このコリアとメセニー、ジャズにおけるスタンス、アプローチ、個性とも、僕から見ると実に良く似ている。

純ジャズからフュージョン・ジャズまで、多様なスタイルに対応し、どの演奏スタイルにおいても素晴らしい成果を残しているところや、様々なジャズメンとの「他流試合」を実施していて、共演者との相性はとても柔軟なところや、アコースティックからエレクトリックまで、多種多様な楽器を操ることができるところ等々、とにかく僕から見ると、コリアとメセニーは良く似ている。

しかし、相性と出会いというのは面白いもので、この僕から見ると「似たもの同士」で「相性抜群」なコリアとメセニーの共演は、僕が知る限り、スタジオ盤ではこの一枚しかない。

そのスタジオ盤とは、 Gary Burton, Chick Corea, Pat Metheny, Roy Haynes, Dave Holland『Like Minds』(写真左)である。ちなみにパーソネルを改めて列挙すると、Gary Burton (vib), Chick Corea (p), Pat Metheny (g), Roy Haynes (ds), Dave Holland (b)。1997年の12月15〜17日の録音。

この盤のリーダーについては、ヴァイブのバートン(写真右)から、ピアノのコリア、ドラムのヘインズ、ベースのホランド、4人の名前が並列して列挙されているので、4人の共同リーダー作と解釈できる。まあ、バートンが一番先頭に来ているので、バートンが便宜的なリーダーとしてとりまとめ役を担ったのだろう。
 

Like_minds

 
この演奏は、コリアとバートンのデュエットを聴き親しんだ耳には実に新鮮に響く。ドラムとベースが入ることによって、リズム&ビートについては、ドラムのヘインズ、ベースのホランドに任せることが出来て、コリアとバートンは、インプロビゼーションに力点を置いている風。デュエットの演奏よりも、グループサウンズ的にこなれた、流麗なインプロビゼーションが素敵だ。

そして、このアルバムの聴きどころは、現代ジャズ・ギターの雄、パット・メセニーの参加である。もともとメセニーの若かりし頃は、ヴァイブのバートンに師事して、バートンのグループに参加していたこともあって、バートンのヴァイブとメセニーのギターの相性はとても良い。この組合せについては、以前から評判が高いので、安心して聴くことができる。

加えて「目から鱗」だったのは、コリアのピアノとメセニーのギターの相性の良さ。このアルバムが録音された1997年まで、共演が無かったのが不思議。もともと両者とも「勘の良い」演奏家である。初めての手合いでも、しっかりと演奏を合わせることが出来るのだが、その演奏の合わせ方が、何度も何十度もセッションを重ねた様な「ピタッと合った」雰囲気なのだ。このコリアとメセニーの共演を聴くだけでも、このアルバムは価値がある。

でも、演奏家同士の相性の面白いところは、このアルバムのセッションの後、コリアとメセニーが共演を重ねたか、と言えばそうではない。この後、この二人がセッションで共演した話を僕は知らない。まあ、演奏する側が感じる相性と、我々、その演奏を聴く側が感じる相性とは、その解釈が大きく異なるところがあるんだろう。

でもなあ、コリアとメセニーの共演、もう一度、聴きたいなあ〜。ビル・エバンスとジム・ホールの様に、チック・コリアとパット・メセニーで、難物とされるピアノとギターのデュオに挑戦して欲しいなあ。コリアとメセニーであれば絶対に素晴らしい成果を出してくれると思うんだがなあ。
 
 
 
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Never_giveup_4

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