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2012年11月16日 (金曜日)

ナット・アダレイのセカンド盤

ハードバップのアルバムって、一定のレベルをクリアした内容のアルバムであれば、その独特の雰囲気にドップリと浸ることが出来る。どのアルバムが良くて、どのアルバムが悪い、っていうことでは無くて、どのアルバムもハードバップ独特のジャジーな雰囲気を味わえるってこと。

これって、ハードバップの演奏というのが、僕達が感じる「ジャズ」に一番近い雰囲気を宿しているってことなんだろう。やっぱり、ジャズと言えば、このハードバップ時代のアルバムが一番フィットする。

このアルバムだって、聴けば「ジャズ」を感じることが出来る。Nat Adderley『Introducing Nat Adderley』(写真左)。アルトの職人、キャノンボール・アダレイの弟。トランペットとコルネットの名手。兄と同じく、ファンクネス溢れるブロウが身上。

1955年9月の録音。う〜ん、ハードバップ時代真っ只中ですね〜。この録音時期だけみても、このアルバム、期待出来ます。そして、パーソネルを紐解くと、Nat Adderley (cornet), Cannonball Adderley (as) Horace Silver (p), Paul Chambers (b), Roy Haynes (ds)。

このクインテット、素晴らしいメンバーですね。アダレイ兄弟をはじめとして、ファンキー・ピアノの元祖ホレス・シルバー、当時ファーストコール・ベーシストだったポール・チェンバース、そして、ハードバップ・ドラムの職人ロイ・ヘインズ。このパーソネルを見れば、ファンクネスがそこはかとなく漂う、正統派ハードバップな演奏が真っ先に浮かびます。
 

Introducing_nat_adderley1

 
そういう感じで、冒頭の「Watermelon」を聴けば、あ〜これは全くもってハードバップな演奏で、なんだか、ついつい口元が緩みます。テクニックもまだまだ、歌心もまだまだ、ただただ溌剌としていて活き活きとしているコルネット。それだけなんですが、それだけが良いんですね。裏表無い一生懸命さがとにかく良い。

そんな初リーダー作のナットと盛り立てるバックが、これまた良い。ハードバップの名手達が、ハードバップな雰囲気をプンプン漂わせながら、フロントのナットとキャノンボールの兄弟フロントを盛り立てる。これが良い。聴いていて、心からハードバップを聴いている気にさせてくれるのは、なにを隠そうこのバックの職人達の存在である。

この『Introducing Nat Adderley』というアルバムは、どちらかといえば地味なアルバムで、ジャズのアルバム紹介には、まずそのタイトルが挙がらないものです。今までのジャズ本のナット・アダレイの代表盤にも、まず挙がらないですよね。でも、このアルバム、実にハードバップしていて、ハードバップな演奏を愛でることが出来るアルバムなんですよね。

ハードバップのアルバムって、一定のレベルをクリアした内容のアルバムであれば、その独特の雰囲気にドップリと浸ることが出来る、ってことを実感出来る、ナット・アダレイの初リーダー盤です。 
 
 
 
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Never_giveup_4

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