幻のスーパーグループだけど
Blind Faith(ブラインド・フェイス)。解散したクリームからエリック・クラプトン(vo,g ) とジンジャー・ベイカー(ds)、同じく解散したトラフィック (1970年に復帰〜再結成) からスティーヴ・ウィンウッド(vo,key,g)、ファミリーから移籍したリック・グレッチ(b,vln) の4人で結成されたグループである。
当時は、実績・実力のある4人が集まったスーパーグループとして、センセーショナルな話題を振りまいたが、あまりの音楽性の違いから(なんでグループを結成したのかが未だ持って判らんww)、1年ももたずにあえなく解散。アルバムもグループ名を冠した『Blind Faith』(写真左)の一枚を唯一のオリジナル盤として残したのみでした。
さて、この唯一のオリジナル盤の『Blind Faith』、パッと見、クラプトンとウィンウッドのコラボに期待が高まるが、コラボによる「化学反応」は全くの不発。内容的にはウィンウッド色が強く、トラフィックの延長線上の音楽を聞かせていると言っても良いと思う。つまり、ウィンウッドの音楽が好きなロック者にとっては、なかなかに聴かせてくれるアルバムだと思います。
しかし、クラプトンのファンについては、このアルバムは大いに期待外れのアルバムでしょう。でも、後のライブでの代表曲のひとつとなる「Presence of the Lord」の当初バージョンが聴けるのだけが救いでしょう。
印象的なギターのフレーズから始まる、冒頭の「Had to Cry Today」からして、トラフィックの雰囲気満載。でも、途中のインプロビゼーションについては、完全にクリーム風になっているのが、なかなか面白い。
2曲目「Can't Find My Way Home」の、アコギを中心にした曲の構成は、ほぼトラフィックと同じタッチ。繊細な雰囲気が実に良い。3曲目の「Well...All Right」は、ウィンウッドのピアノとクラプトンのギターがなかなかに素晴しい演奏を聴かせてくれる。意外と内容のある演奏だと思います。
4曲目「Presence of the Lord」は、作りはちょっと荒いが、文句無しの名曲。そこはかとなく芳るカントリー&ブルース風味が、後のデレク&ドミノスに繋がる。
5曲目の「Sea of Joy」では、グレッチがなかなかに美しいヴァイオリン・ソロを聴かせてくれており、各メンバーの見せ場を用意しているのが良く分かる。で、ラストの「Do What You Like」は、完全に捨て曲。何の魅力もないジャムセッションなので感想は割愛。
但し、このアルバム、名盤とは言い難い。というか、迷盤の類だと思います。クラプトン、ウィンウッド、ベイカー、グレッチが暇つぶしに集まって、適当にジャムったアルバムという揶揄もありますが、その感じ、良く判ります。アルバムに仕上げるだけの出来では無かった様な気がします。とにかく、作りが荒く、甘い。
このアルバムは、完全に、トラフィックのアルバムと言っても良いくらいの内容です。クリームから、クラプトンとベイカーの参加を考えると、もう少し、プログレッシブな内容になると感じるのですが、どうも上手くいっていません。ロック者ベテランの方々向けのアルバムです。
70年代ロックの名盤の一枚に挙げられる事が良くあるアルバムですが、内容的には今でも疑問です。このアルバムをロック名盤に挙げる、その感性と理屈が良く理解出来ません(笑)。ロックの歴史的モニュメントとして扱うにも、アルバムの内容がちょっと乏しいように感じます。
決して、ロック者ビギナーの方々、一般の70年代ロックファンの方々は、慌てて購入してはいけません。初めて聴いた時には、結構、失望を味わう確率の高いアルバムの一枚です。僕も、今から35年前、大学1年生の時、悲嘆に暮れた一人です(笑)。でも、ウィンウッドの音楽性に惚れてからは、このアルバムを聴くようになりましたけどね・・・。
大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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