ジョージのソロ・ワークスの原点
『All Things Must Pass』より3年を経て、次なるスタジオ・アルバム『Living in the Material World』(写真左)をリリース(この間に1971年のライヴ・アルバム『Concert for Bangladesh』があったが・・・)。
昨日にご紹介した名盤『All Things Must Pass』の続編的なものを期待すると肩すかしを食います。ビートルズ時代のジョージの音作りとはかなり違っており、このアルバムが、ジョージ・ハリソンのソロ・ワークスの原点と言うべき、アルバムだと僕は思っています。
前作『All Things Must Pass』での中心的なセッション・メンバー(リンゴ・スター、ジム・ケルトナー、ニッキー・ホプキンス、クラウス・フォアマン)が継続して参加しているが、ジョージのこの頃の好みであったアコースティックな音作りがしっかりと施されています。
アルバム全体が一つの音色に貫かれていて、アルバム全体の完成度は高く、このころのジョージの哲学・思想もしっかりと色濃く反映されていて、「ポピュラーソング」という枠を超えた、実にアーティスティックなアルバムに仕上がっています。
加えて、ジョージの宗教好きは、このアルバムでピークに達し、アルバムのそれぞれの曲の歌詞には、宗教的な色合いの濃いものも結構ある。
「精神主義」と「人間への嫌悪感」がごちゃ混ぜになった内容は難解な部分を含んでいるので、ちょっと取っつきにくいかも。精神主義については「Living in the Material World」や「Give Me Love」などに、また人間への嫌悪については「Sue Me, Sue You Blues」で、明確な形で歌われている。
また、どことなくフォークの感触を感じさせる本作には、今までにない、新たな発見を与えてくれるトラックがいくつかある。
内省的な「Be Here Now」、ポップな「Don't Let Me Wait Too Long」と「The Lord Loves the One」、ウォール・オブ・サウンドがわずかながら再現される「Try Some, Buy Some」などは、このアルバム独特の聴きどころと言える。期待が高すぎたせいで、批評家の反応も思わしくなく、ファンからは不満の声が上がった。なんだか損をしているアルバムではある。
僕は、ジョージのソロ・ワークスにどっぷりと浸りたい時は、先にご紹介した『All Things Must Pass』とこの『Living in the Material World』の2枚に絞って、じっくり耳を傾ける。極端に言えば、ジョージを愛でるのはこの2枚が最適なのである。
大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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