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2012年9月25日 (火曜日)

「睡眠導入盤」としての愛聴盤

リーダー本人の代表作でも無いんだが、何故だか、お気に入りの長年のヘビロテ盤なんていうのが幾つかある。なんか、馬が合うというか、雰囲気が合うというか、他の評論家やジャズ者の方々の評価に関係無く、好きなアルバムってあるよね。

このPaul Desmond『Glad To Be Unhappy』(写真左)なんか、僕にとって、そんなアルバムの一枚。何故か大好きで、何故か長年のヘビロテ盤。このアルバムの持つ、優しさと寛ぎの雰囲気が大好きで、寝る前の一枚として、何故か長年の愛聴盤として君臨している一枚である。

ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Jim Hall (g), Eugene Cherico (b), Connie Kay (ds)。1963年6月の録音になる。RCAレーベルからのリリース。Featuring Jim Hallと冠しているように、ポール・デズモンドとジム・ホールの共演作になる。

この二人の相性が抜群なのだ。優しくウォームで、優しく語りかける様なデスモンドのアルトに、美しきウォームなシングルトーンをベースに、これまた優しく語りかける様なホールのギター。この相性抜群な二人が旋律を受け持って、アルバム全体の雰囲気は、落ち着いて聴き易い、お洒落なイージーリスニング・ジャズ的な内容。

確かに、イージーリスニング・ジャズ的な内容なんだが、決して易きに流れていない、というか、決して安易に判り易くしていない、というか、聴けば聴くほど、意外に、デスモンドのアルトとホールのギターが硬派なインプロビゼーション展開を仕掛けてまくっていることに気が付く。聴き易い、長閑な雰囲気の演奏ばかりだからといって騙されてはならない(笑)。
 

Glad_to_be_unhappy

 
唯一、ミディアムテンポで演奏されているのは「Any Other Time」のみ、後は、聴き心地の良い、イージーリスニング・ジャズの様なバラード演奏ばかりで占められる。このバラード演奏が、いずれの曲も、実に「クール」なのだ。この意外と「硬派」で「クール」なイージーリスニング・ジャズが実に良い雰囲気なのだ。

決して、ジャズ入門本では、はたまたジャズ盤紹介本では、デスモンドの代表作、名演作に名を連ねることも無い、決して、ホールの代表作、名演作に名を連ねることも無い、そんな地味なアルバムなんだが、これが、イージーリスニング・ジャズとしてなかなかの内容なのだから、捨てておけない。

Eugene Cherico (b), Connie Kay (ds)のリズム・セクションの存在も「粋」。このベースとドラムがあってこそ、優しくウォームで、優しく語りかける様なデスモンドのアルトと、美しきウォームなシングルトーンをベースに、これまた優しく語りかける様なホールのギターが映えに映えるのだ。

テクニックがどうとか、演奏スタイルがどうとか、そんなことには全く無縁の、良い意味での「イージーリスニング・ジャズ」。良いアルバムです。就寝前の一枚にいかがでしょうか。僕の睡眠導入盤でもあります。お勧めです。 

 
 

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Never_giveup_4

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コメント

先日、城達也のナレーションでa taste of haney, hi lili hi lo, angel eyse …
と曲紹介する声がふとよみがえりました。それは昔FMでエアチェックしたこのLPをかけた夜のラジオ番組の録音の記憶でした。
私もこのLPは本当にあきません。そしてすばらしく美しいです。
ジャケットは初めて見ましたがこれも素敵ですね。

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