« こんなアルバムあったんや・13 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・37 »

2012年9月 4日 (火曜日)

ビル・エヴァンス『Eloquence』

ジャズ・ジャイアンツ、ジャズの有名ミュージシャンのアルバムの中には、代表作として挙げられることは少ないが、我々、ジャズ者から愛聴されている「ヘビロテ盤」が必ずある。いわゆる、ジャズ・ジャイアンツの「隠れ名盤」である。

ビル・エバンス。ジャズ・ピアノにとっての最大のジャズ・ジャイアンツである。このビル・エバンスの多くのリーダー作の中で、代表作として挙げられることは少ないが、僕にとっての「ヘビロテ盤」が何枚かある。

その一枚が『Eloquence』(写真左)。ビル・エヴァンスの死後、1982年に発表された未発表曲盤。それまでの正式にリリースされたリーダー作から収録漏れした音源から編集されたコンピレーションである。エヴァンスのアコピとエレピ+ベースのエディ・ゴメスのデュエット編成とエヴァンスのピアノ・ソロの2タイプの演奏から成っている。

エヴァンスのアコピとエレピ+ベースのエディ・ゴメスのデュエット、冒頭の「Gone With The Wind」から、エヴァンスのアコピのジャジーさとリリカルさ、そして、ゴメスのベースのメロディアスな強靱さが際立つ。加えて、エヴァンスのエレピの素晴らしさ。この曲を聴き通すだけでも、この未発表盤の価値があるというもの。

このエヴァンスの個性満載の冒頭の「Gone With The Wind」の様な演奏が2曲目以降、7曲続く。どの曲も、エヴァンスの個性をビンビンに感じることが出来て、しかも、肩肘張らずにリラックスしてエヴァンスのピアノを楽しむ事が出来る。良い感じなんですよね。水が静かに流れるように、耳にエヴァンスのピアノが心地良く流れ込んでいく。
 

Evans_eloquence

 
ラス前「But Not For Me〜Isn't It Romantic〜The Opener」、ラスト「When In Rome〜It Amazes Me」のメドレーなど圧巻ですね。エヴァンス者にとっては堪らないメドレーです。本当にエヴァンスのソロ演奏は凄い。

決して、大向こうを張った派手なパフォーマンスを展開するのでも、超絶技巧なテクニックを駆使しまくるのでも無い。シンプルで普通にピアノを弾き進めてのソロ・パフォーマンスなんですが、これがまあ、滋味溢れるというか、ジャジーで洒脱で素晴らしい。「粋」と「鯔背」。ジャズ・ピアノのスタイリストとしての第一人者の面目躍如。

エヴァンスのジャズ人生の中で、特別なポジションを占めるアルバムでは無いんですが、これが実に良いんですよね〜。冒頭の「Gone With The Wind」を聴き始めたら、ついつい、最後まで聴き通してしまう。そんな不思議な魅力と説得力が詰まった、僕にとっての「ヘビロテ盤」、エヴァンスの「安心の一枚」です。

この盤を聴く度に、いつも思う。ビル・エヴァンスの後期のパフォーマンス、ファンタジー時代のエヴァンスも聴き応え充分だと。良いアルバムです。ジャズ・ピアノに親しみ始めたら、聴いて見て下さい。本当に、滋味溢れる、ジャジーで洒脱で素晴らしいアルバムです。長く長くつきあえる、親友のようなアルバムです。

アルバム・ジャケットは2種類あります。日本盤のものが左、海外盤が右。どちらもアート的には「?」なんですが、まあいいでしょう。このジャケットからすると、ジャケ買いするアルバムではなさそうです(笑)。

 
 

★大震災から1年半が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« こんなアルバムあったんや・13 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・37 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ビル・エヴァンス『Eloquence』:

« こんなアルバムあったんや・13 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・37 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー