ビル・エヴァンス『Eloquence』
ジャズ・ジャイアンツ、ジャズの有名ミュージシャンのアルバムの中には、代表作として挙げられることは少ないが、我々、ジャズ者から愛聴されている「ヘビロテ盤」が必ずある。いわゆる、ジャズ・ジャイアンツの「隠れ名盤」である。
ビル・エバンス。ジャズ・ピアノにとっての最大のジャズ・ジャイアンツである。このビル・エバンスの多くのリーダー作の中で、代表作として挙げられることは少ないが、僕にとっての「ヘビロテ盤」が何枚かある。
その一枚が『Eloquence』(写真左)。ビル・エヴァンスの死後、1982年に発表された未発表曲盤。それまでの正式にリリースされたリーダー作から収録漏れした音源から編集されたコンピレーションである。エヴァンスのアコピとエレピ+ベースのエディ・ゴメスのデュエット編成とエヴァンスのピアノ・ソロの2タイプの演奏から成っている。
エヴァンスのアコピとエレピ+ベースのエディ・ゴメスのデュエット、冒頭の「Gone With The Wind」から、エヴァンスのアコピのジャジーさとリリカルさ、そして、ゴメスのベースのメロディアスな強靱さが際立つ。加えて、エヴァンスのエレピの素晴らしさ。この曲を聴き通すだけでも、この未発表盤の価値があるというもの。
このエヴァンスの個性満載の冒頭の「Gone With The Wind」の様な演奏が2曲目以降、7曲続く。どの曲も、エヴァンスの個性をビンビンに感じることが出来て、しかも、肩肘張らずにリラックスしてエヴァンスのピアノを楽しむ事が出来る。良い感じなんですよね。水が静かに流れるように、耳にエヴァンスのピアノが心地良く流れ込んでいく。
ラス前「But Not For Me〜Isn't It Romantic〜The Opener」、ラスト「When In Rome〜It Amazes Me」のメドレーなど圧巻ですね。エヴァンス者にとっては堪らないメドレーです。本当にエヴァンスのソロ演奏は凄い。
決して、大向こうを張った派手なパフォーマンスを展開するのでも、超絶技巧なテクニックを駆使しまくるのでも無い。シンプルで普通にピアノを弾き進めてのソロ・パフォーマンスなんですが、これがまあ、滋味溢れるというか、ジャジーで洒脱で素晴らしい。「粋」と「鯔背」。ジャズ・ピアノのスタイリストとしての第一人者の面目躍如。
エヴァンスのジャズ人生の中で、特別なポジションを占めるアルバムでは無いんですが、これが実に良いんですよね〜。冒頭の「Gone With The Wind」を聴き始めたら、ついつい、最後まで聴き通してしまう。そんな不思議な魅力と説得力が詰まった、僕にとっての「ヘビロテ盤」、エヴァンスの「安心の一枚」です。
この盤を聴く度に、いつも思う。ビル・エヴァンスの後期のパフォーマンス、ファンタジー時代のエヴァンスも聴き応え充分だと。良いアルバムです。ジャズ・ピアノに親しみ始めたら、聴いて見て下さい。本当に、滋味溢れる、ジャジーで洒脱で素晴らしいアルバムです。長く長くつきあえる、親友のようなアルバムです。
アルバム・ジャケットは2種類あります。日本盤のものが左、海外盤が右。どちらもアート的には「?」なんですが、まあいいでしょう。このジャケットからすると、ジャケ買いするアルバムではなさそうです(笑)。
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