米国ルーツ・ロックの大名盤
アメリカン・ルーツ・ミュージックという言葉がある。僅か建国以降の歴史200年の米国において、米国黒人のブルース、ゴスペル、初期のジャズ、アメリカ白人のフォーク、カントリーを指す。特に、米国南部ではこれらのルーツ・ミュージックが土着文化として生き続けている。
アメリカン・ルーツ・ミュージックをベースにしたロックが、アメリカン・ルーツ・ロック。1960年代後半辺りから発祥し、代表的バンドとしては「ザ・バンド(The Band)」が挙げられる。
このザ・バンドの音を聴けばたちどころに判るのだが、このアメリカン・ルーツ・ロックとは、ロックンロールを基調としつつ、代表的なアメリカン・ルーツ・ミュージックである、ブルース、ゴルペル、カントリーの要素を中心に取り入れ、ラフで豪快でリラックスした中に、アーシーで快適なテンションが感じられるロックである。
そんなアメリカン・ルーツ・ロックの代表的ミュージシャンの一人に「ライ・クーダー(Ry Cooder)」がいる。
ライ・クーダーとは、スライド・ギターの名手で、アメリカン・ルーツ・ロックにおける代表的ミュージシャンの一人。クーダーは、アメリカのルーツ・ミュージックに着目し、ロックンロール基調のアレンジに上手く取り入れ、ポップ・ロックの演奏に焼き直すことにより、アメリカン・ルーツ・ミュージックを再評価したことは高く評価されても良い。
その最大の成果が『Chicken Skin Music』(写真左)。彼の5作目となる1976年発表の作品である。
代表的なアメリカン・ルーツ・ミュージックである、ブルース、ゴルペル、カントリーの要素を中心に据えつつ、ハワイアンの要素を大胆に取り入れて、快適にレイドバックした、アメリカン・ルーツ・ロックの名盤である。
ハワイアン音楽で使用されるスラック・キー・ギターやアコーディオンなどの響きが、アメリカン・ルーツ・ミュージックの中に混じって、ネイティブなアメリカン・ルーツ・ロックとは、ちょっと雰囲気を異にする、トロピカルなアメリカン・ルーツ・ミュージックが、このアルバムの中に蔓延しており、その適度でラフでトロピカルなムードが、クーダーの強烈な個性になっている。
ルーツ・ロックというのは、この『Chicken Skin Music』みたいな盤を言うのだろう。ルーツ・ロックをやるには、当然、ルーツ・ミュージックに精通する必要がある。このライ・クーダーについては全く申し分無い。
ライ・クーダーのアメリカン・ルーツ・ミュージックについての精通度については素晴らしいものがあります。そんな高い精通度が、この『Chicken Skin Music』の中で、素晴らしいアレンジの成果として花開いています。アメリカン・ルーツ・ロックの名盤として、この『Chicken Skin Music』はお勧めの逸品です。
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