夏はボサノバ・ジャズ・その12 『Do the Bossa Nova』
ボサノバ・ジャズの花形楽器のひとつに「フルート」がある、と僕は思っている。ボサノバの穏やかでオシャレな雰囲気に「フルート」の音色は実に合う。ポップなジャズ・フルートの第一人者と言えば、ハービー・マン(Herbie Mann)。
そのハービー・マンが「ボサノバ」を聴いた時、ボサノバの創始者ジョビンの作る美しいメロディーとサンバに由来する独特のリズムに、新しい何かをビンビンに感じたらしく、速攻でブラジル渡航を決行。現地の一流ミュージシャン達と意気投合し、あっというまで出来上がったのが、このアルバム。
そのタイトルは『Do the Bossa Nova』(写真左)。1962年10月に、ブラジル本国、リオデジャネイロで録音されたアルバム。ちなみにパーソネルは、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)やバーデン・パウエル(Baden Powell)、ボサ・トレス(Bossa Tres)、セルジオ・メンデス(Sergio Mendes)、ペドロ・パウロ(Pedro Paulo)、パウロ・モウラ(Paulo Moura)、ドゥルヴァル・フェレイラ(Durval Ferreira)、オターヴィオ・バイリー(Otavio Bailly Jr.)、ドン・ウン・ホマン(Dom Um Romao)らが参加。
いやいや、キラ星の様に、ボサノバの一流どころのミュージシャンの名前が並んでいます。凄いメンバー構成ですね。ボサノバ人脈のアメリカ人ジャズメンへの憧憬っぷりは半端でなかったようです。ジャズ代表ハービー・マンとボサノバ一流ミュージシャンの融合。
ジャズ・フルートのボサノバ・ジャズと聞くと、ユルくてポップな耳当たりの良い音が想像されるんですが、このアルバムは違います。結構、硬派で芯の入ったボサノバ・ジャズが展開されています。直球なアレンジと演奏で挑んだ、ハービー・マン渾身の一枚と言えるでしょう。
ハービー・マンのフルートも凄いのですが、バーデン・パウエルのギターのもの凄い。圧倒的なスイング感、ドライブ感は今聴いてもブッ飛びもんです。
面白いのは6曲目「Blues Walk」。Clifford Brownの作ったブルース「Blues Walk」を軽快なアップテンポのボサノバで演奏しているんですが、これがまあ、それはもう目眩く「純ジャズ+ボサノバ」の化学反応の世界。硬派なボサノバ・ジャズにも関わらず、もはや、踊らずにはいられない、そんなダンサフルな感じが素敵です。ぶっ飛びの疾走感。凄いです。
この『Do the Bossa Nova』は、通常のボサノバ・ジャズ盤とは一線を画するものです。ボサノバのアレンジを前面的に取り入れた硬派なメインストリーム・ジャズと解釈した方がすんなり腹に落ちる、実に硬派なジャズ盤です。でも、根はボサノバ盤。秀逸なボサノバ・ジャズ盤としても十分に楽しめます。聴き流しもOK。良いアルバムです。
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