このライブ音源はマニア向け
まだ、こんな音源が残っていたんやなあ、と感心した。Jaco Pastorius『Word Of Mouth 1983 Japan Tour Featuring 渡辺香津美』(写真左)。
1982年ウエザー・リポートを脱退しワード・オブ・マウス・ビッグ・バンドとしてオーレックス・ジャズ・フェスティバルで来日し、ソロ・ワークスとして全盛を極めていた時期、その翌年にワード・オブ・マウス・バンドとして全国9ヶ所、10公演を行った時の白熱のライヴ音源が初CD化。
当初ギターで参加するはずだったマイク・スターンが急遽来日できなくなり彼の推薦により渡辺香津美の参加が決定。日本人としては唯一の夢の共演が実現した。タイトルの「Featuring 渡辺香津美」がその部分を表している。
この時のJaco Pastorius "Word Of Mouth" Band、パーソネルは、ジャコ・パストリアス(b), 渡辺香津美(g), ロン・トゥーリー(tp), アレックス・フォスター(sax), デルマー・ブラウン(key), ドン・アライアス(perc), オセロ・モリノー(steel-ds), ケンウッド・デナード(ds)。
今までCD化されてこなかった訳で、それはそれなりに理由があるんだろうな、と思いつつ、今回、この音源を入手し、集中して聴いてみた。
まず、音質はあまり良くないです。中の下というところか。音質を語るなんて俗物だ、音質が悪くても良い演奏は良い演奏なのだ、という向きもありますが、一般の、普通のジャズ者の方々が、音楽として鑑賞するには、このライブ盤の音質はちょっと問題でしょう。ジャズ者マニアのレベルならともかく、この音質はちょっとお勧め出来ませんね〜。
演奏の精度、演奏の展開もイマイチです。1982年のオーレックス・ジャズ・フェスティバルで来日した時のライブ音源と比較すると、かなり見劣りするのは否めません。この今回のライブ音源は、その翌年の1983年。1年でこれだけ演奏の精度と演奏の内容に楽さを生じるのか、と案漠たる気持ちになります。
ライブ音源として、歴史的な「記録」としては価値があるとは思います。しかし、主役のジャコのベースが輝かしいソロ・パフォーマンスを聴かせてくれることも無く、フィーチャーされた渡辺香津美のギターについても同様で、輝かしいソロ・パフォーマンスを聴かせてくれることも無い。
加えて、演奏される展開も平凡なもので、「これは」と煌めくものも無く、ジャズ・フュージョンな演奏が主体であるはずが、レゲエな冗長な演奏や、無意味に長い垂れ流し的なソロ・パフォーマンスが長々と収録されており、それでCD2枚組のボリュームになって、とにかくアルバム全体的な印象として、散漫かつ冗長なライブ音源という、ちょっと淋しい内容が残念です。
このライブ盤は、ジャコのマニア向けでしょう。といって、ジャコの素晴らしいソロが入っている訳でも無く、このアルバムは、あくまで、ライブ音源の形をした歴史的な記録。ジャコが率いる「ワード・オブ・マウス・ビッグ・バンド」の素晴らしい実力を体験するには、あまりに役不足なライブ音源です。
一般のジャズ者の方々は、オーレックス・ジャズ・フェスティバルで来日した時のライブ音源『Twins』などを聴いた方が、ジャコの率いるワード・オブ・マウス・ビッグ・バンドの実力の程を、ダイレクトに完璧に感じる事が出来ると思います。
とにかく、渡辺香津美のエレギが不完全燃焼風に収録されているのが、惜しいというか無念である。まあ、このライブ音源、敢えてこの時期に初CD化リリースする必要は無かったのではないかと思います。
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