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2012年7月 5日 (木曜日)

ジャコのテクを愛でる名盤

昨日までは、ジャズ・ベーシストのリーダー作の代表的パターン、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースについて、何枚かアルバムをご紹介した。どれもが、創造力に秀でた素晴らしい内容のリーダー作であった。

今日からは、ジャズ・ベーシストのリーダー作の代表的パターンの2つ目。ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出したケースについて語ってみたい。

まあ、このケースは、ジャズ・ベーシストとしては、一番、リーダー作のコンセプトとして取り組みやすいテーマではある。超絶技巧なテクニックをバンバンに披露すればよいのだから・・・。でも、それは、そのテクニックが相当優れたものだけに限られる。そこそこなテクニックであれば、アルバム一枚分、約35分〜45分の間に「飽きる」。聴く気が失せる。

だからして、ジャズ・ベーシストのリーダー作の代表的パターンの2つ目、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出したケースは、真の超絶技巧なテクニックを持つ天才ベーシスト、ヴァーチュオーゾに限られる。この限られたベーシストに該当する者は、これまた一握りに過ぎない。

エレクトリック・ベース(略してエレベ)の世界で言えば、圧倒的にジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)だろう。

ジャコのリーダー作と言えば、真っ先に『Jaco Pastorius(邦題:ジャコ・パストリアスの肖像)』を挙げるジャズ者が大多数かもしれない。この『Jaco Pastorius(邦題:ジャコ・パストリアスの肖像)』については、2009年7月26日のブログ(左をクリック)で取り上げているので、その内容はそちらを参照願いたい。

しかし、僕は、ジャコのジャズ・ベーシストのリーダー作の代表的パターンの2つ目、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出したケースについては、Weather Reportの『Heavy Weather』(写真左)を挙げたい。
 

Jaco_heavy_weather

 
この『Heavy Weather』は、1977年のリリース。この『Heavy Weather』は、当時大流行だった「フュージョン」のエッセンスを大々的に取り入れた、Weather Reportの大ヒット作である。

このアルバムは、ザビヌルとジャコの共同プロデュースの作品。全編を通じて、ジャコのプロデュース能力がアルバム全体を支配している。「売れる」という要素も「ストレート・アヘッドなエレクトリック・ジャズ」という要素も、どちらも、ジャコのプロデュースが生み出した成果だと僕は感じている。

ジャコのエレベに注目して、この『Heavy Weather』を聴き込んでみると、ジャコの天才的なフレーズ、ジャコの超絶技巧なテクニック、ジャコの躍動感溢れるリズム&ビートを存分に感じる事が出来る。

特に、3曲目の『Teen Town』はジャコの代表的名演の一曲。初めて聴いた時は、ジャコのエレベの音はザビヌルのシンセの音と勘違いした(笑)。

そして、2曲目の「A Remark You Made」のバラードでの、流れるような柔らかなバッキングは愁眉。4曲目「Harlequin」、ラストの「Havona」のジャコのエレベの演奏こそ「超絶技巧」の表現がまさにピッタリ。驚きを通り越して、呆れ果てる感じのジャコのエレベのテクニック。まるでエレキギターを弾くような滑らかさ。

とにかく凄い。こんな、唄うように流れるように、滑らかで力強く、骨太で繊細なエレベの音は体験したことが無い。そんな凄いエレベが、Weather Reportという類い希な才能集団の演奏の中で繰り広げられるのだ。

そういう意味で、僕は、ジャコのジャズ・ベーシストのリーダー作の代表的パターンの2つ目、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出したケースについては、Weather Reportの『Heavy Weather』を挙げる。

エレベと言えば「ジャコ・パストリアス」。ジャコの凄さを体験できる「この一枚」と問われれば、Weather Reportの『Heavy Weather』と答える。まあ、一度、ジャコのエレベを愛でるというスタンスで、この『Heavy Weather』を聴いてみて下さい。目から鱗となること請け合いです。ジャコの天才エレベについて再認識です。
 
 
 
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Never_giveup_4

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