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2012年6月 7日 (木曜日)

マッコイ・タイナーとの出会い

ジャズ・ピアノについては、エバンス派のピアニストが好みである。エバンス派の総帥、ビル・エバンスを筆頭として、チック・コリア、ミシェル・ペトルチアーニ、そして、ブラッド・メルドー。しかし、それだけでは無い。マッコイ・タイナーも好きなピアニストである。

ちなみに、マッコイ・タイナーは、絶対にエバンス派では無い。マッコイ・タイナーは彼自身がスタイリストの一人である。ガーン、ゴーンと力強いタッチと目眩くモーダルなインプロビゼーション、そして、コルトレーン譲りのシーツ・オブ・サウンド。どう聴いても、エバンス派の流れではない(笑)。

でも、このマッコイのピアノが意外と好きなのだ。今を遡ること34年前。1978年の事である。僕はピッカピカのジャズ者初心者。ジャズ・ピアノから聴き始めて、ビル・エバンスは直ぐに好きになった。そして、ある日、FMから力強いピアノの音が流れてきた。勿論、ジャンルは「ジャズ」。ピアノ・トリオのライブ録音である。

ガーン、ゴーンと力強いタッチと目眩く不思議な旋律を宿したアドリブ、そして、音符を敷き詰めた様に速いパッセージを弾きまくる。この時が、マッコイ・タイナーとの初めての出会いであった。とにかく判り易い。テクニックの凄さも判るし、不思議な旋律の流れは「モード奏法」であることは直感的に判った。

そして、このピアノ・トリオのライブ録音が、アルバム化されることをジャズ雑誌で知る。McCoy Tyner『Passion Dance』(写真)である。1978年7月28日、東京の田園コロシアムでの「Live Under The Sky '78」でのライブ録音。パーソネルは、McCoy Tyner (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。
 

Passion_dance

 
トリオというフォーマットゆえに、マッコイのピアノを心ゆくまで堪能出来る。マッコイのピアノを聴きたい、と言われたら、かなりの確率でこのライブ盤をかけますね〜。ガーン、ゴーン、パラパラリラリ〜、という感じで、コルトレーン直系のシーツ・オブ・サウンドを配しながら、ハイテクニックで、かつ、スピリチュアルでモーダルなピアノ演奏が素晴らしい。

マッコイの演奏のアレンジは、コルトレーン・ミュージックを判り易く聴き易くしたもの。これがまた「良い」。マッコイの好みのアレンジメントにのって、バックで、ドラムのトニー・ウィリアムスが叩きまくる。コルトレーン直系のシーツ・オブ・サウンドの様にドラムを叩きまくる。そして、ロン・カーターがブンブンブ〜ンと相当に野太いベースで応戦する。

マッコイのピアノ、トニーのドラム、ロンのベース。殴り合いの様な、格闘技のような、それでいて、絶妙のバランスとギリギリのところで均整がとれた、アグレッシブでドラマチックな内容のピアノ・トリオ。

このライブ盤でのマッコイのピアノはライブ録音のものでは無く、後でオーバダブしたものという噂もあるが、それはそれで、このライブ盤をスタジオ録音盤として聴き直せば良い訳で、オーバーダブしたものだからといって、このアルバムでのマッコイのピアノの素晴らしさが変わる訳では無い、と僕は評価している。

「Moment's Notice」「Passion Dance」「Search for Peace」「The Promise」「Song Of The New World」の5曲が収録されているが、どの曲も素晴らしい内容で甲乙付け難い。マッコイの心ゆくまで愛でることの出来る良い内容のライブ盤です。 

ちなみにアルバム・ジャケットのデザインは、現在は写真右のなんともセンスの無いものです。僕はLP時代の写真左のジャケットでないと絶対に雰囲気が出ません(といって、これはこれで余りにシンプルでやっつけなジャケットだけど・・・笑)。
 
 
 
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Never_giveup_4

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