こんなライブ盤ってどうなんだろう
こんなアルバムの存在ってどうなんだろう。Eric Clapton『24 Nights - Recorded Live At the Royal Albert Hall, London (1990-1991)』(写真左)。
1991年リリースのEric Claptonのライブ盤。1990〜1991年、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、24日間行われた公演のベストテイクを集めたもの。ベストテイクというか、クラプトンのベスト盤の様な、クラプトンの代表曲、有名曲、ヒット曲のライブ演奏をズラリ並べたものである。
1960年代後半のクリームの時代に遡って、1970年代前半のデレク・アンド・ドミノスの時代の名曲も含めて、クラプトンの代表曲、有名曲、ヒット曲を的確に網羅しており、クラプトン・ファンには涙涙の選曲であり、クラプトン入門盤としても、なかなか的確な選曲である。
演奏の編成もなかなかバリエーションに富んでおり、Disc 1-1〜4が「4 Piece Band」、Disc 1-5〜8が「Blues Band」、Disc 2-1〜4が「9 Piece Band」、Disc 2-5〜7が「Orchestra」と、全部で4部構成になっていて、それぞれ、その編成の特徴を活かした響きが独特の、なかなか素晴らしい演奏となっています。
しかも、演奏機材の進歩、録音技術の進歩も相まって、昔の曲のいずれもが、豊かな響き、クリアで分厚い音を前提とした、整然とした音作りとなっていて、昔のクラプトンの曲が「あれ」と思うくらい、聴き易く、ダイナミックレンジ豊かな演奏に変化している。
しかし、どうなんだろう。このライブ盤は、完全にエリック・クラプトンにとっては「ナツメロ」の部類に属する選曲であり、新しいものは何も無い。しかも、この「ナツメロ」が、1990年当時の最新の演奏機材、最新の録音技術のお陰で、新しい響きを宿している。つまり、その「ナツメロ」曲が、世の中にリアルタイムに流れていた時の音とは、全く似ても似つかぬ、1990年の新しい音を前提に演奏されているのだ。
「ナツメロ」として聴くには響きが新し過ぎるし、1990年の時代の新しい音としては、曲作りのコンセプトや全体的雰囲気が、ちょっと「古い」雰囲気が漂う。どっちつかずの内容で、これはどうなんだろうか。クラプトンのファンとしては、響きが新しすぎて違和感を感じるし、クラプトン入門としては、曲の持つオリジナルな雰囲気がダイレクトに伝わらず、なんだか「隔靴掻痒」の感が強い。
正直に言えば、このどっちつかさが、どうしても耳について、このライブ盤は、未だ「僕の愛聴盤」になり得ていない。演奏時代は素晴らしく、曲が初出となった時代の演奏より、豊かな響き、クリアで分厚い音、整然とした音作りとなっているんだが、それはそれで、なんだか違和感を感じる。
1970年代ロックの、セルフ・カバー前提の「ナツメロ」焼き直し的なアプローチは、1970年代ロックをリアルタイムに聴き進めてきた僕にとっては、どうしても違和感は否定できない。
1990年代以降にリリースされる、1970年代ロックのセルフ・カバー演奏は、なんだかどっちつかずな雰囲気が色濃く付きまとう様で、聴くことは聴くんだが、僕はどうしても最終的に好きになれない。困ったもんだ(笑)。
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