時代の最先端を行くテレンス 『Flow』
iTunes Storeを徘徊していて見つけたコーナー「Robert Glasperのお勧めアルバム」の中に、このアルバムがあった。Terence Blanchard 『Flow』(写真左)。
2004年12月の録音になる。2005年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Terence Blanchard (tp), Aaron Parks (key), Brice Winston (ts,ss), Derrick Hodge (b), Lionel Loueke (g,vo), Kendrick Scott (ds), Herbie Hancock (p on "Benny’s Tune," "The Source"), Gretchen Parlato (vo on "Over There," "Child’s Play")。
Terence Blanchard(テレンス・ブランチャード)は、80年代初頭に同郷のウイントン・マルサリスとともに新伝承派の旗頭として鮮烈にデビューした新進気鋭のトランペッター。1962年3月生まれなので、もう50歳になる。これくらい若手のジャズメンになると、デビューした頃から知っていて、実に親しみを覚え続けているジャズメンになる。
テレンス・ブランチャードは、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャースの一員で、バリバリと若さにまかせてトランペットを吹きまくっていた頃から、お気に入りのトランペッターである。僕は、彼のことを、親しみをこめて「テレンスくん」と読んでいる (^_^)v。
さて、このテレンスくんのブルーノート移籍後第2弾となるアルバム『Flow』、プロデューサーは、なんとピアノでも参加している、ハービー・ハンコック御大である。ハービー御大の導きで展開される、時代の最先端をいくコンテンポラリー・ジャズの世界。いや〜、なかなか玄人好みのジャズである。
決して、ハードバップ懐古では無い、決して、モーダルな新主流派ジャズでは無い。エレクトリック・ジャズからワールド・ミュージックの要素も組み入れ、基本はモーダルなジャズであるが、今までのジャズのトレンドとなった要素をそこかしこに取り入れ、リズム的には、実に洗練されたリズム&ビートで、これがまあ、実にモダンなんやなあ〜。フリーでも4ビートでもない時代の最先端をいくリズム&ビート。
そんな時代の最先端をいくリズム&ビートにのって、テレンスくんの伸びやかで艶やかなトランペットが朗々と響き渡っていく。このアルバムでのテレンスくんのトランペットは秀逸。ブリリアントで伸びやかで艶やか。テクニック優れ、音のバリエーション豊か。紡ぎ出すフレーズは流麗かつエレガントで気品が漂う。非常に優れたトランペットである。聴き応え十分。
完成度の高い、気品漂う、良いアルバムだと思います。テレンスくんのトランペットを愛でるに最適なアルバムの一枚。但し、リズム&ビートが、フリーでも4ビートでもない時代の最先端をいくリズム&ビートなので、ジャズ者初心者の方々は、聴き始めはかなり戸惑うかも。ジャズ者中級者の方々には是非とも聴いて頂きたい。ハードバップだけが、モード・ジャズだけがジャスではありませんぞ。
こういうアルバムを聴くと、ジャズって、まだまだ進歩しているんやなあ、と単純に思います。時々、時代の最先端をいく音を宿したジャズ・アルバムを聴くのも良いものです。
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