MJQのとても不思議なアルバム
長年、ジャズ者をやっていると、不思議なアルバムに遭遇する時がある。どこかで出会ったことがある「郷愁を感じる」様なアルバムもあれば、誰にも相手にされないのだが、何故か不思議と気になるアルバムもある。
今回、久し振りに聴いた、The Modern Jazz Quartetの『Longing for the Continent』(写真左)もそんな不思議なアルバムの一枚。モダン・ジャズ・カルテットのアルバムなので、素性は確かなのだが、細かい録音データが無い。1958年、欧州公演の際の何ヶ所かでライブ録音され、ラジオでオンエアされた音源、ということだけがネットの情報で窺い知れる。
でも、このアルバム、ジャケットのレーベル表示を見れば判るのだが、「デンオン・レコード」のレーベル表示である。このアルバム・ジャケットって、どこかで見たことがあるんやなあ。レコード屋で見たことがあるのかも知れないし、ジャズ喫茶で見たことがあるのかもしれない。僕にとって、どこかで出会ったことがある「郷愁を感じる」様なアルバムの一枚なのだ。
今回、ダウンロード・サイトで見つけて、懐かしさの余り、即、ゲットしたのだが、このアルバムの情報がネットでも殆ど無いのには驚いた。「デンオン・レコード」のレーベル表示がある盤なので、日本ではポピュラーな部類の盤なのかと思っていたが、どうも違う。
では、内容的に劣っているので、殆ど相手にされない盤なのか、と言えば、これも違う。聴いて見れば判るのだが、1958年のMJQの演奏である。かなりハイレベルの演奏内容であり、MJQとしても水準をいく演奏内容と言って良い。しかも、他の盤には見られない「Animal Dance」「England's Carol」「Sketch 3」「Ambiquite」等が聴ける希少価値が、この盤にはある。それぞれの演奏内容もかなりいける。
ちなみに、「Sketch 3」「Ambiquite」の2曲は「le Jazz Groupe de Paris」、つまりフランスのジャズ・アンサンブルとの共演で、分厚いビッグバンドの様な伴奏をバックに、MJQならではの音世界が堪能出来る、なかなかの演奏内容となっている。
どうして、MJQにとって、こんな「まずまずの内容の盤」がネットでも相手をされないのだろう。不思議と言えば、とても不思議な盤である。しかも、よく聴くと、スクラッチ・ノイズが聴き取れる。ということは、この音源は、LPからデジタル録音して、アルバム仕立てにした音源ということになる。
音源としても、その素性は不確かなもの。でも、演奏内容はまずますで、MJQとして、ちょっと珍しい曲が演奏されているのだから、MJQマニアとしては隅に置けない盤ではある。
こんな盤がたまにあるんですよね〜。ネットでもほとんど相手にされない、ジャズ大国日本でも相手にされない盤。それでも、その盤が、どこかで出会ったことがある「郷愁を感じる」様なアルバムであれば、やはり、見つけた時には、即ゲットして聴いてみたくなるのが人情ってものでしょう。だから、ジャズ者って面白い。アルバム・コレクターは止められません(笑)。
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