春にスイングジャズは良く似合う
やっと温かくなってきた。やっと春らしい陽気になってきた。朝もヒンヤリしなくなった。いや〜待望の春である。
昨年入院して以来、自宅療養からリハビリを経て、さすがに体調が優れないながらも会社へ復帰して、なんとか通勤をして体調回復に努めていた頃は、ずっと冬に向かって季節は進んでいた。そして、今年の冬は寒くて長かった。なかなか温かくならないから、なかなか体調が元に戻らないのでは、と寒い冬に八つ当たりしていた。
そんなこんなで、やっと春が来た気分である。やっと気温も平年並みになってきた。まだ、少し、気温は低めだが、冬が寒くて長かった分だけ、多少気温が低めでも、今年は春爛漫の温かい春の雰囲気が味わえる。ようは気持ちの問題である。
春爛漫の温かい春の雰囲気になってくると、ふとノンビリ、ほのぼのとしたジャズが聴きたくなる。ノンビリ、ほのぼのとしたジャズといえば、スイング・ジャズである。スイング時代のジャズの雰囲気は、テクニック確かで、切れ味の良い演奏であっても、どこか、ほのぼのとした雰囲気が漂う。そんなところが僕は好きだ。
今日は、スイング・ジャズの雰囲気を宿したアルバムとして、『Art Tatum-Roy Eldridge Quartet』(写真左)をチョイス。1955年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Eldridge (tp, flh) Art Tatum (p) John Simmons (b) Alvin Stoller (ds)。ピアノの神様アート・テイタムと、ジャズがスウィングからバップへ移行する時代の重要なトランペット奏者であるロイ・エルドリッジ(写真右)、二人の為のカルテットである。
1955年の録音で、時代はハード・バップの時代になっているが、このカルテットの録音は、演奏全体の雰囲気はスイング・ジャズであるが、テイタムとエルドリッジのソロ・パートの演奏スタイルは「ビ・バップ」。特に、テイタムのピアノは、超絶技巧で饒舌。圧倒的なビ・バップのピアノである。
喧しいとか五月蠅いとか心無い評もあるが、ビ・バップに似たスタイルで、調節技巧なテクニックを駆使しつつ、饒舌なインプロビゼーションをかますところは、テイタムの最大の個性なので、これは外せない。逆に、そうでなければテイタムでは無い、という位だから、ありのままを演奏をしっかりと受け止めたい。
エルドリッジのトランペットは、基本的にはビ・バップを踏襲しつつ、ところどころ雰囲気はスイング・ジャズになるところが面白い。ジャズがスウィングからバップへ移行する時代の重要なトランペット奏者という、エルドリッジの位置付けを決して外すことの無い演奏スタイル。切れ味の良いトランペットでありながら、どことなく、ほのぼのとした雰囲気が漂うのは、やはり、エルドリッジのトランペットの底には、スイング・ジャズのマナーが流れているからだろう。
テクニック確かで、切れ味の良い演奏であって、どこかほのぼのとした雰囲気漂うのが、このアルバムの良さ。夏に聴くとテイタムの饒舌なピアノが暑苦しく、秋に聴くとスイング・ジャズな響きがどこか淋しげで悲しくなる。冬に聴けば、エルドリッジの切れ味の良いトランペットが冷たく感じる。しかし、春は違う。春にこのアルバムを聴くと、春爛漫な気候と相まって、なかなか良い感じで聴けるのだ。
春爛漫な気候と雰囲気に、スイング・ジャズは良く似合う。このところ、時々、テイタムの一連のアルバムを引っ張り出して来ては、こっそりと人知れず聴いている。
大震災から1年。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。
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