1980年代のアーマッド・ジャマル
昨日、一昨日に引き続きアーマッド・ジャマルのお話しを・・・。今週はなんだか「ジャマル祭り」の様相を呈してきた。さて、昨日も書いたが、アーマッド・ジャマルは「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。1960年代終わり〜1970年代の作品は「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」が中心。
そんな「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニストであるアーマッド・ジャマル。1980年代はどうだったか。これがまた、キッチリと変化しているんですね。しかし、本当に良く変化するピアニストですね〜。1980年代に至っては、1950〜1960年代までの「しっとりシンプルでオシャレなサウンド」の面影は全くありません。
1980年代のジャマルでよく聴くアルバムが『Rossiter Road』(写真左)。1986年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), James Cammack (b), Herlin Riley (ds), Manolo Badrena (perc)。ジャマル以外は僕にとっては無名のミュージシャンばかり。
ここでのジャマルのピアノは、1960年代終わり〜1970年代の作品は「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」から、アーシーさがすっかり抜けきって、豪快でメリハリのある力強いタッチが特徴。左手の叩き付けるようなガーン、ゴーンという骨太な音はマッコイ・タイナーばり。右手の早弾きテクニックは一流のもの。
静から動へ劇的に転換して突っ走る「Without You」、カウベルのリズムが効いて楽しい、切れ味鋭い疾走感が心地良い「Yellow Fellow」、時代の最先端のトレンドを踏まえたドラミングで始まる、アーティスティックな「Autumn Rain」。この時代のジャマルの素晴らしさは「アレンジメント」。いずれの曲もアレンジが素晴らしい。聴き応えのある素晴らしいアレンジ。
ここには、マイルスが愛した、間を活かし、音数を選んだ「しっとりシンプルでオシャレなサウンド」は全く無い。間を活かすどころか、コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」ばりの超高速テクニックの弾きまくりが前面に押し出されている。そして、ジャマルのテクニックは凄い。思わずポカンと口を開けてしまいそうな、超絶技巧な指捌き。
しかし、本当に、アーマッド・ジャマルは「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。1960年代終わり〜1970年代の作品は「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」が、1980年代になって、こんなに変化するとは思わなかった。しかし、劇的な変化は、この1980年代で一旦の終息をみる。
今のジャマルは、豪快でメリハリのある力強いタッチが特徴。そして、ジャマルの素晴らしさは「アレンジメント」。テクニックの素晴らしさは相変わらず。煌びやかなピアノの音が実に魅力的である。うん、今度は最近のジャマルを聴いてみよう。
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