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2012年2月 8日 (水曜日)

野球に関するジャズのアルバム

2月になると、日本ではプロ野球のキャンプがスタート。それまではシーズンオフで、野球の話題はそこそこだったのが、キャンプ・インからは、スポーツニュースは野球の話の花盛りとなる。やっぱり、日本って国は野球が好きなんやな〜。

野球と言えば、本場は米国。米国と言えば「ジャズ」の発祥の国。野球にまつわる「ジャズ」演奏って結構あるんじゃないかと、昔、思った。が、これがなかなか無い。ジャズの本場ニューヨークと言えば、昔からヤンキースの本拠地で、野球のまつわる「ジャズ」演奏があってもいいのになあ。

と言うことで、野球に関するジャズのアルバムはないものか、と、自分のライブラリーをゴソゴソ探してみた。でも、やっぱり、なかなか無い。あきらめずに再びゴソゴソしていたら、やっとこのアルバムを見つけた。

Andre Previn & Russ Freeman『Double Play!』(写真左)。1957年4月、5月の録音。ちなみにパーソネルは、Andre Previn (p), Russ Freeman (p), Shelly Manne (ds)。ダブル・ピアノにドラムという変則トリオ。なんとベースがいないが、演奏のその時々で、ダブル・ピアノのどちらかがベースラインを担当しているので問題は無い。

さて、改めて、このアルバム、どういう経緯でこうなったのか、このアルバムの存在を知った時から、知りたくて知りたくて仕方が無いのだが、アンドレ・プレビン(写真右)とラス・フリーマンという2人のピアニストの連弾とシェリー・マンのドラムという大変珍しいフォーマットで演奏されている。

2人のジャズ・ピアニストの連弾を、野球の「ダブルプレイ」とかけたアルバム名。アルバム名だけが、野球に関係しているだけでなく、ジャケットの悩ましいオネーサンも野球帽をかぶって応援をしているみたいな風情。なかなかセクシーでよろしい。
 

Double_play

 
いやいや、それだけではない。オープニングの曲が、かの大リーグで有名な「Take Me Out To The Ball Game」。邦題「野球場につれていって」は、大リーグのサポーター共通の「応援歌」。この歌を敵味方ともに大声で歌いまくるのだから、大リーグは凄い。凄いを通り越して「羨ましい」。

そのような大有名曲が、いともたやすくジャズのフォーマットに乗っかって、とても楽しく愛らしく演奏される。恐らく、ジャズのアルバムの中で「野球場に連れて行って」を取り上げているのは、このアルバムだけじゃないか。とにかくアレンジが美しく愛らしい。この「野球場に連れて行って」のカバー、違和感は全く無い。

他の曲についても、曲のタイトルは、なんとなく「野球」にまつわるネーミングみたい。そして、演奏自体はどれをとっても、プレビンとフリーマンとの楽しい掛け合いと連弾。注意深く聴いていても、どっちがどっちなのか判らないくらい、素晴らしいテクニックと歌心溢れるフレーズの連発。

プレビンとフリーマンはピアノ連弾の相性抜群である。西海岸特有のちょっと乾いた響きのピアノが実に爽快。そんな爽快なピアノ音が連弾でダブルで響き渡るのだ。単純に聴き心地満点である。

プレビンがクラシック出身というのを知っていて、辛うじて、タッチが堅くシッカリしていて、リズムやタイミングがいかなる場面でも崩れない方がプレビンかな、と判る。それに比べて、フリーマンは、少しラフで粘りがあってジャジー。所謂、ジャズ出身のピアニストらしさが見え隠れする。

それと、特筆すべきは、シェリー・マンのドラミングの素晴らしさ。こんなに柔軟でカラフルなドラミングは、シェリー・マンだけのもの。ドラミングだけ聴いていても十分に楽しめる。シェリー・マンは、そんな繊細かつ大胆なドラミングで、プレビンとフリーマン、二人の連弾を明るくポジティブに盛り上げる。

破綻の少ない、緻密で大胆でクールでスピード感溢れる「米国西海岸ジャズ」の好アルバムです。特に、米国西海岸ジャズ者の方々にお勧めですね〜。爽快ですぞ。

 
 

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Fight_3

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コメント

今更すいません。初めまして。僕も野球つながりのジャズって結構あるんじゃ?とふと考え、検索してここに流れ着きました。

僕にとって、野球繋がりのJazzというとなんと言ってもマルティーノのThree base hitです。

Double Playのような楽しさはないですが、これを聞くとき、僕はいつも打球が外野の間を抜けて、バッターが三塁に向かって賢明に走っている姿をイメージしてしまいます。曲の緊張感と疾走感がまさにスリーベースヒットです。イチローじゃなくてピート・ローズあたりですかね。

最初から野球を意識しながら曲を書いたのかは分かりませんが、Three base hitとはよくつけたなあといつも関心して聞いてます。

また、あんな堅物そうなマルティーノですが、野球好きなんだなと思うと何となく嬉しくなってしまいます。

同じようなことを考えていた方がいらしたことが嬉しくてコメントしてしまいました。楽しい記事を書き続けて下さい。

はじめまして、「ま。」さん。松和のマスターです。
 
野球つながりのジャズ、ってありそうで、なかなか無いんですよね〜。
でも、さすがは野球の本場米国だけあって、さがせばやはり「ある」。
 
どの演奏も野球の楽しさがダイレクトに伝わってくるハッピーな演奏
ばかりです。また、このブログでご紹介する機会があればと思います。
 

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