続・デスモンドとマリガンの対比
Gerry Mulligan & Paul Desmondの名盤『Blues in Time』とくれば、次に続くは、Gerry Mulligan & Paul Desmond『Two of a Mind』(写真左)である。この流れは僕にとって「定番中の定番」(笑)。
改めて、この『Two of a Mind』、1962年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Gerry Mulligan (bs), John Beal (b), Connie Kay (ds)。フロントにサックス2本、ピアノレスでドラムとベースのリズセクション。変則的なカルテット編成は先の『Blues in Time』と同じ。
ウエストコースト・ジャズの最大の特徴でもある「秀逸なアレンジ」は相変わらず。マリガンが、このアルバムでも、アレンジの腕を存分にふるっている。前の『Blues in Time』よりも、さりげない感じの秀逸なアレンジが実に「ニクイ」。マリガンも大人になったのお。シンプルな中に、なかなかに味のあるアレンジである。
この『Two of a Mind』は、RCAレーベルからのリリースなので、前作『Blues in Time』よりもイージーリスニング・ジャズに傾いていて、デスモンドのアルトも円やかさが更に増している。でも、まだまだ、「鋭い切れ味」で、強いアルトを吹きまくるデスモンドは健在。
そのデスモンドの更にウォームで円やかになったアルトとは正反対の、バリサクの低音を活かしてブリブリと強烈なブロウで、デスモンドのアルトに相対するマリガンも健在。フロントに立って吹きまくるデスモンドの伴奏に回った時の、マリガンのバリサクの伴奏が素晴らしいところも健在。
というか、5年の月日の流れが、この二人のコラボをより味わい深く、地味深いものに進化させているように感じる。前作『Blues in Time』では、気合いを入れて必死に吹きまくっていた二人だが、この『Two of a Mind』では、お互いの音と個性をしっかり確認しながら、余裕のあるユニゾン&ハーモニー、余裕のあるスリリングなチェイスを聴かせてくれる。
「All The Things You Are」「Stardust」「The Way You Look Tonight」など、聴き易さ満点のスタンダード曲を、秀逸なアレンジと相性抜群のデスモンドのアルトとマリガンのバリサクが、サックスという同系の楽器でありながら、カバー音域が異なるが故に、「良い塩梅」の音の絡み具合で、実に魅力的に、実に円やかに、実に切れ味良く聴かせてくれる。
良いアルバムです。前作『Blues in Time』よりもイージーリスニング・ジャズに傾いていて、アレンジもさりげなく、「耳当たり」という点では、こちらの『Two of a Mind』の方が、ジャズ者初心者の方々へのお勧めかもしれません。といって、ジャズ者ベテランも方々にも是非一聴して頂きたく。デスモンドに対する感じ方がガラッと変わること請け合いですぞ。
ちなみに、この『Two of a Mind』も、アルバム・ジャケットについては2種類あって、現在、流通しているのは写真右のものみたいですが、僕の馴染みで好きなのは写真左のジャケット。僕はこちらの方が絶対に良い。遙か昔、LPの時代、僕が馴染みだったのは、この写真左のジャケットだったからです。あんまり、ジャケット・デザインは昔と変えて欲しくないなあ(笑)。
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