アグレッシブなDBQとデスモンド
今週の初め、ポール・デスモンドを極めたいと思って、早、木曜日になる。え〜い、今週はポール・デスモンドで突っ走るぞ。
今日までご紹介したポール・デスモンドは、「鋭い切れ味」で、強いアルトを吹きまくるデスモンドだった。どれもが、デスモンドのリーダー作、若しくは双頭リーダー作。デスモンドに辛口の方々は「でも、The Dave Brubeck Quartet(DBQと略)でのデスモンドは、ひ弱でスイングしてないで〜」って言いそう。
どうも、ポール・デスモンドのアルトに対して誤解した評価をお持ちの方々は、このDBQに関しても、誤解した評価をお持ちの傾向が強い。どうしてどうして、DBQって、結構、硬派な演奏をするんやけどなあ。オフビートを強調した、粘りのあるファンキーなスイング感では無く、スクエアで間合いを入れた縦ノリのスイング感が抜群なのだ。硬質でゴツゴツした、木訥としたスイング感である。
そんなDBQのライブ盤がある。タイトルは『Dave Brubeck Quartet at Carnegie Hall』(写真左)。おさらいになるが、パーソネルは、Paul Desmond (as), Dave Brubeck (p), Gene Wright (b), Joe Morello (ds)。1963年2月22日、NYのカーネギーホールでのライブ録音。
どうも、DBQは、スタジオ録音とライブ演奏とは、その演奏方針を変えていたと思う。スタジオ録音は、家のリビングのステレオで鑑賞することを踏まえて、柔らかく耳当たりの良い、オシャレな演奏を心がけている様に感じる。逆に、ライブ演奏はバリバリ尖ったスクエアなスイング感で、ノリノリの演奏を繰り広げるという、エンタテインメント性を全面に押し出した演奏を主力とする。
そんなDBQのライブ盤である。結構、エッジの立った、ノリノリの演奏を繰り広げている。そんなノリノリのDBQの演奏である。当然、アルトのデスモンドも、ノリノリの「鋭い切れ味」の強いアルトを聴かせてくれる。このライブ盤でのデスモンドのアルト、結構、聴きものです。これだけ、スクエアなビートに乗って、ノリノリに吹きまくるデスモンドも珍しい。
しかも、このライブ盤、デスモンドのアルトが結構フィーチャーされている感じなのだ。全編に渡って、デスモンドのアルトが前面に出て、それはそれは大活躍である。デスモンド者の方々に、なかなかのお勧めです。
収録された曲も、小粋なスタンダード曲から、DBQの大ヒット盤からの人気曲まで、なかなか聴き応えのある選曲である。そんな曲たちを熱気溢れる演奏で紡ぎ上げていく。
僕も、このライブ盤を初めて聴いた時、ビックリした。「これってあのThe Dave Brubeck Quartetなのか?」。DBQの大ヒット盤からの人気曲など、スタジオ録音よりもテンポが速い。「Three To Get Ready」「Blue Rondo A La Turk」「Take Five」、いずれも爽快である。
しかし、このライブ盤、ひとつだけ、欠点がある。ベースとドラムの長尺ソロが収録されていること。Disc2の「King For A Day」と「Castilian Drums」。これはいただけない。これだけが玉に瑕である、どう聴いても退屈である。
のベースとドラムの長尺ソロを除けば、意外や意外、アグレッシブなDBQを、アグレッシブなデスモンドのアルトを心ゆくまで堪能すること出来る、このライブ盤『Dave Brubeck Quartet at Carnegie Hall』は良いアルバムだと思います。DBQに対する誤解した評価も、デスモンドの対する誤解した評価も、一気に一転すること請け合いです。
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