今年を振り返って(前編)
今年を振り返ると、個人的にはあまり良いことは無かった一年だった。良いことより、悪いことの方が多い一年だった。
代表的な「悪い出来事」は2つあった。まず、3月に東日本大震災に被災したこと。帰宅難民になり、家の中は無茶苦茶で悲惨な状況だった。まだ寒い時期に計画停電に5回も遭遇した。そんな状況の中、音楽なんて聴いている場合か、と本気で思った。というか、暫く、音楽を聴く気が起こらなかった。強い喪失感に襲われた。
そして、11月には、大腸憩室出血による大量下血で緊急入院した。一瞬、生命がヤバかったし、11日間寝たきりで辛かった。1ヶ月仕事を休んだ。自分の身体のこと、寿命のことを真剣に捉えるようになった。音楽を聴くということは、自分にとってどういう意味があるのか、真剣に考えた。寂寞感に苛まれた時期もあった。
そんな悲惨な状況の中で、一番、心に残ったアルバムは、James Taylorの『Mud Slide Slim And The Blue Horizon』(写真左)。ジェームス・テイラーの1971年リリースの傑作である。2曲目のキャロル・キングが提供した大名曲「You've Got A Friend(きみの友だち)」の存在が大きいが、この「きみの友だち」のみならず、アルバムを埋めるそれぞれの曲が、今年の悲惨な状況の中で大きな心の支えになった。
シンガーソングライターブームの中、キャロル・キングとダニー・コーチマーから提供された2曲以外、ジェームス・テイラーの自作曲で占められている。いずれの曲も素晴らしい出来で、どの曲も様々な表情を見せながら、どの曲も心に響いてくる。
加えて、バック・バンドの演奏がこれまた実に優れたもので、本当に良いバック演奏を提供してくれている。米国ルーツ・ミュージックであるフォークやカントリーだけでなく、ソウルのリズムやジャズのフレーズなども巧みに吸収しながら、アコースティック中心のシンプルでビートの効いた演奏は特筆もの。特にベースの響きが心地良い。
それでも、やっぱり、このアルバムで突出した輝きを放っている曲が「You've Got A Friend(きみの友だち)」だろう。大震災の後に強く感じた喪失感の中、緊急入院して深く人生について考えながら感じた寂寞感の中、この「You've Got A Friend(きみの友だち)」は素晴らしく心に染みた。
今年、幾度か悲惨な状況に陥りながらも、今になって、心の平静を取り戻したのは、この曲あってのことが大きい。高校時代に出会って以来、30年以上が経つが、この曲は未だに、僕の心の応援歌であり続けている。そんなこんなで、今年一番、心に残る楽曲でもあった。
When you're down and troubled
and you need a helping hand
and nothing, whoa nothing is going right.
Close your eyes and think of me
and soon I will be there
to brighten up even your darkest nights.
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