「ファンキー&ソウルフル」がウリ
ドラムスがスティーブ・ガッド、キーボードがリチャード・ティー、ギターがコーネル・デュプリー。となると、70年代後半、あの伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」の再来か、と思ってしまう。
しかし、ベースは純ジャズ畑でならした(あのビル・エバンスと長年トリオを組んだことでも有名な)エディ・ゴメスと、バリトン・サックスの雄(これが実に効いているんだが)ロニー・キューバとくる。これは面白そうなバンドだなと思った。そのバンドのデビュー作、その名もズバリ『The Gadd Gang』(写真左)。1986年のリリースになる。
演奏面では、メンバーも半数が重複することから「スタッフ」との共通点はいろいろある。が、「スタッフ」のウリは「ソフト&メロウ」だが、このガット・ギャングは、「ファンキー&ソウルフル」がウリのバンド。とにかく、ビートのメリハリが利いて、とにかく楽しい。ストリート・ミュージックに通じる、ファンキーでノリの良い演奏が、このバンドの真骨頂。
特に、7曲目の「Honky Tonk〜I Can't Stop Loving You」を聴いてみて欲しい。聴き飽きた手練れのフュージョンでは無い、新鮮な印象の演奏がここにある。
純ジャズで鍛えたゴメスのウォーキングベースが強靱なビートを弾き出し、キューバのバリトンサックスが、テナーやアルトとはひと味違う「ドスの利いた」サックス・ソロがソウルフルな雰囲気を増幅する。ティーのキーボードも、デュプリーのギターも、実にファンキーな音を紡ぎだし、ドラムは、ビートはなんでもござれのガットが叩きまくる。特に、ベースのゴメスが大活躍。
昔、70年代後半、かの伝説のフュージョンバンド、スタッフに感じた「音楽的な不満」を全て解消してくれているようなバンドなのだ。よくぞ、やってくれた。スタッフとガッド・ギャングで「最強のフュージョン・ジャズ」である。
スタッフのファンは一度、耳にしてみて下さい。「ソフト&メロウ」な味付けを隠し味に「ファンキー&ソウルフル」なビート感がウリの、唯一無二の、僕が考える、理想的なフュージョンバンドといえます。
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コメント
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ベース、エディ・ゴメスだったのですか!
知らなかったです!
実は、ちょっと敬遠していたアルバムだったのですが、早速、明日、探しにいきます。
ジャズ喫茶松和に通ってよかった。
投稿: 1-SHOW | 2011年11月 3日 (木曜日) 01時17分
1-SHOWさん、いらっしゃい。松和のマスターです。
そうなんですよ、ガッド・ギャングのベーシストはあのエディ・ゴメスなんです。
僕も最初はビックリ。あのビル・エバンスのバックを長年勤めたベーシストです。
てっきり、ゴメスは純ジャズの人だと思っていて、コッテコテなファンキーさを
前面に押し出したガッド・ギャングの様なフュージョン・ジャズのベースを担当
する、しかも、アコースティック・ベースで演奏するなんて思いもしなかった。
ガッドとゴメス、仲が良いのでしょうか。ガッド・ギャングでの共演の
後も、度々、タッグを組んでいるようです。
投稿: 松和のマスター | 2011年11月 3日 (木曜日) 09時24分