ロッドの英国時代の最後の作品
Rod Stewart『Smiler(スマイラー)』(写真左)は、ロッド・スチュワートが1974年10月に発表したアルバム。スタジオ・アルバムとしては5作目。全英1位、しかし全米は13位。
ジャケット・デザインを見ると、コテコテの英国仕様。赤と黒のタータンチェックをバックに、オールディーズなファッションのロッド。アンティックな鏡の中にロッドの姿。徹頭徹尾、クラシックなブリティッシュ仕様。ちなみに、このアルバム『Smiler』は、ロッドの英国での最後のソロ・アルバム。
アルバムの内容も、しっかりと英国を意識している。アイリッシュやスコットランドな響きを要所要所に織り交ぜていて、英国人泣かせの内容が実に「ニクイ」。そりゃ〜、この音作りだったら、英国1位になるよな〜。狡いぞ、ロッド(笑)。セルフ・プロデュースの面目躍如である。
アルバム全体の雰囲気は、明るくハッピーで渋くて格好良い「ロックンロール大会」。アクセントにR&Bなナンバーやバラードを織り交ぜて、このアルバムは飽きることが無い。参加メンバーも豪華で、ロニー・レインを除くフェイセスのメンバー、6曲目「Let Me Be Your Car」の作者であるエルトン・ジョン、ポール・マッカートニーもコーラスで参加しているらしい。
チャック・ベリーの「Sweet Little Rock 'N' Roller」やサム・クックの「Bring It on Home to Me〜You Send Me」、キャロル・キングの「(You Make Me Feel Like) A Natural Man」、ボブ・ディラン「Girl from the North Country」、ポール・マッカートニーの「Girl from the North Country」と他人曲のカバーが中心。シンガー、ロッド・スチュワートの真骨頂である。
しかし、デビュー・アルバム『An Old Raincoat Won't Ever Let You Down』から続いてきたセルフ・プロデュースもマンネリ化してきた感がある5作目ではある。フェイセズ的なバックバンドの音も「馴れ」と「飽き」が漂ってきた感のある5作目でもある。
『Every Picture Tells A Story』が全米1位、『Never A Dull Moment』が全米2位だったことを考えると、全米13位は「惨敗」と言えば「惨敗」。米国マーケット制覇を目指して、プロデュースとバックの音作りを一から再構築する必要性に迫られた、成熟したが故に、ロッドの将来に大きな課題を残した、ロッドの英国最後のソロ・アルバムである。
この1974年のソロ5作目。英国でのMercury時代の最後の作品。この後、ロッドは英国の重税から逃れるという実務的な理由と、新たなプロデュースとバックの音作りを求めて、大西洋を渡って米国に移住、そこで録音を始めることになる。つまり「Atlantic Crossing」するのである。
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