日本の「ジャンル不詳のバンド」
日本ではジャンル不詳のバンドとして、レコード屋では、ある時は「R&B」、ある時は「ソウル」、ある時は「ロック」、ある時は「ブラコン」、ある時は「ジャズ」と、様々な音楽ジャンルにたらい回しにされた不幸なバンドとして、Tower of Powerをご紹介したが、70年代の日本の音楽界にも、様々な音楽ジャンルをたらい回しにされた不幸なバンドがある。
その不幸なバンドの名前は「スペクトラム(Spectrum)」。1979年から1981年まで活動した日本のブラス・ロックバンドとされるが、スペクトラムのアルバムをどう聴いても、ブラス・ロックというジャンルで解釈しきれない、様々な音楽性が散りばめられ、様々な音の要素が詰まっている。ブラス・ロックで片付けられるものでは無い。
そんなユニークは音楽性はデビューアルバム『スペクトラム』(写真左)にギッシリと詰まっている。全編の曲を見渡して、確かに、ブラス・ロックの要素をベースにはしているものの、時には「ブラス・フュージョン」、時には「コッテコテのR&B」、時には「ブラスをフィーチャーしたファンキー・ジャズ」。
決して、ブラス・ロックの要素が勝っているわけでは無い。どちらかと言えば、70年代米国ロック&ポップス界の中で見渡すと、先に紹介した「Tower of Power」や「War」や「Average White Band」の様な、ファンキーR&Bをベースとした、クロスオーバーなブラス・フュージョンと言った方が良い。そうそう、スペクトラムと同時期に日本で大流行した「アース・ウィンド&ファイヤー」とも類似性が高い。
と言いながら、このスペクトラムの音って、ジャンル不詳と言った方が良いかもしれない。ただ、言えることは「ファンキーかつR&Bなブラス・ロックを基調としたフュージョン・ジャズ」として聴くと、意外と違和感が無い、と言うこと。
LPに針を降ろすと(CDではトレイに載せてスタートスイッチを押すと)風の音が吹きすさび、ラジオからは台風情報が朗々と流れ、バックにはオールドスタイルなジャズが流れ、そして、その音世界に切れ込むように始まる「どファンク」なリズム&ビート。
名ファンク曲「アクトショー」の始まりである。このファンキーでブラスな「アクトショー」から始まるこのアルバムは、徹頭徹尾、ファンキーでR&Bでブラス・ロックなフュージョン演奏が淀みなく流れるように進み、スペクトラム独特で個性的な音世界一色に染まります。
とにかく面白い個性を持ったバンドだった。ジャズとしても聴けるし、フュージョンとしても聴けるし、ブラス・ロックとしても聴けるし、R&Bとしても聴けるし、ファンク・ロックとしても聴ける。名実共に「ジャンル不詳」の優れたバンドとして、スペクトラムの名前と音は、今でもしっかりと記憶の中に残っている。
最後に、スペクトラムは、ステージでの衣装とパフォーマンスにも、独特の個性があって、僕はとても気に入っていた。見る度にワクワクして「僕もやってみたいな〜」と強く思ったもんだ(笑)。
そのステージでの衣装とパフォーマンスとはどんなものだったか。映画「ベン・ハー」を連想させる古代ローマの戦士を思わせる甲冑や北欧のバイキングをイメージした被りもの付きの「ど派手」なコスチュームを着用、ギター、ベース、トランペット、トロンボーンの5人が最前列に並び、演奏しながら振り付けを合わせて踊り、楽器をクルクル回すパフォーマンス。
初めて見た時は度肝を抜かれたが、馴れるにつけ「病みつき」になっていった(笑)。あのコスチュームとパフォーマンスは今でも好きだ。当時も今も目にするとワクワクする。Youtube万歳である(笑)。
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マスター様へ
こんばんは〜
この記事を拝見して
鮮明に思い出しました〜〜懐かしいです〜。
テレビに登場してたのを見て
シルバー色のコスチュームを私も着てみたいと思ってました。
あの雰囲気好きでした。
投稿: Maeve | 2011年10月18日 (火曜日) 00時45分
いらっしゃい、Maeveさん。松和のマスターです。
スペクトラムの活動期間は短かったですが、強烈な印象を残した
バンドだったと思います。僕もあの雰囲気が大好きで、今でも、
あのコスチュームを着てみたいと強く思っています。
あの衣装で、あのアクションで、ど派手に演奏できたらなあ。
ファンキーで格好良いですよね〜。
投稿: 松和のマスター | 2011年10月19日 (水曜日) 00時08分