ロリンズの胡散臭いアルバム 『Sonny Rollins Plays』
ソニー・ロリンズ名義のアルバムの中で、一番「胡散臭い」アルバムは『Sonny Rollins Plays』(写真左)。僕は常々そう思ってきた。だって、まずジャケットデザインを見て欲しい。高校の美術室にあるような石膏像がテナーをくわえている。何の意味があるんや。おかしいやろ。しかも、かなりの手抜きのデザイン。ほんまにこのアルバム、ソニー・ロリンズ名義のリーダー作なん?
そう思っても不思議は無い。この『Sonny Rollins Plays』ってアルバム、ソニー・ロリンズ名義でありながら、半分は,トランペッターのサド・ジョーンズのセッション。なんやなんや、何の脈略も無いカップリングやないか。そもそも素性からして怪しい。この『Sonny Rollins Plays』は、Period原盤でFresh Soundから再発されたもの。まず、Period原盤に馴染みが無く、Fresh Soundってどこや、って感じ(笑)。
じゃあ、なんでこのアルバムが、ソニー・ロリンズのアルバム紹介に名を連ねているのか、って思いますよね。それは聴けば判ります。1957年11月の録音で、この頃のロリンズの安定感は抜群。このアルバムの前半部のロリンズ名義の3曲が、それはそれは愛でるに相応しい、ロリンズの名演となっているからです。
ロリンズ名義の3曲とは、(1)Sonnymoon For Two (2)Like Someone In Love (3)Theme From Pathetique Symphony の3曲、ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins(ts), Jimmy Cleaveland(tb), Gil Coggins(p),Wendell Marshall(b), Kenny Dennis(ds)。
さすがに弱小レーベルへの吹き込み。ロリンズ以外は、ほとんど無名に近いミュージシャン。ベースのマーシャルは聞いたことがあるな。でも、ピアノとドラムの担当については僕は知らない。
ほとんど無名とは言え、バックのリズム・セクションはなかなかしっかりとバッキングの任を果たしており、その形式的で堅実な演奏は、まずまず評価することができます。そんなバックを従えて、ロリンズは朗々とテナーを気持ちの赴くままに吹き上げていきます。
朗々と豪快に吹き上げる、そして、イマージネーション溢れるアドリブ、聴き易くキャッチーな展開。ロリンズのテナーの良さが、このロリンズ名義の3曲に溢れています。なろほど、この3曲だけで、この「胡散臭い」アルバムは「買い」ですね。しかし、予備知識無しに、このアルバムはなかなか手にし難い。それほど、怪しげなジャケット・デザインではありますね(笑)。
逆に,サド・ジョーンズの演奏の方もなかなか聴き応えがあります。リーダーのサド・ジョーンズのペットは快調。他のメンバーそれぞれのソロも良い。アルバムラストのバラード・メドレー「allad Medley : Flamingo - If You Were Mine - I'm Through With Love - Love Walked In」は聴き応えがあります。
昔からの有名盤ばかり紹介されても有り難くもなんとも無い。 予備知識が無くては、なかなか手にできない「胡散臭い」アルバム。こういう時にこそ、アルバム紹介の本やサイトが必要なんですよね。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」、「v_matsuwa」で検索して下さい。
がんばろう日本、がんばろう東北。自分の出来ることから復興に協力しよう。
« ビル・エバンスの初来日を捉える | トップページ | ロックの側からのアプローチ »
コメント