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2011年9月17日 (土曜日)

『People Time - The Complete Recordings』

希有の天才テナー奏者、Stan Getz(スタン・ゲッツ)の遺作『People Time』の完全版。正式なタイトルは、Stan Getz & Kenny Barron 『People Time - The Complete Recordings』(写真左)。1991年3月3日から6日。デンマークはコペンハーゲンの「Jazzhus Montmartre」でのライブ録音。

以前は、この『People Time』はCD2枚組。コペンハーゲンの「Jazzhus Montmartre」のライブ録音からピックアップされたものだった。ちなみに、この『People Time』は、スタン・ゲッツの生涯の最高傑作。このCD2枚組でも、スタン・ゲッツのテナー・ブロウの凄さが体験できた。

しかし、今回、このCD7枚組のボックス盤にて、1991年3月3日から6日。デンマークはコペンハーゲンの「Jazzhus Montmartre」でのライブ録音のほぼ全てを体験できることとなった。

ジャズは即興演奏が基本の演奏形態が故、演奏それぞれに「当たり外れ」が発生する。特にライブではそうだ。

通常、ライブ・アルバムの収録曲については、できる限り、ライブ演奏の全てについて録音テープを回しておき、後で聴き直しながら、その「当たり外れ」を判定して、「当たり」のライブ演奏をチョイスして、ライブアルバム化する。

つまりは、ライブ録音のマスターテープには、「当たり」と「外れ」の演奏がごった煮で入っていて、マスターテープの全てをアルバム化することは、そのミュージシャンを深く知る上での「資料」としての価値はあるが、演奏の「外れ」の部分は敢えて通常のジャズ者の方々には不要のもの、という考え方が通例。
 

People_time

 
しかし、このPeople Time - The Complete Recordings』には「外れ」の演奏が無い。どれもが最高の演奏がズラリと並んでいる。このライブ盤については、どの演奏がそれぞれ、どうこうと言うのは、激しく野暮な行為に値する。どれもが素晴らしい演奏なのだ。これは奇跡に近い、ジャズ界の中でも希なこと。

このスタン・ゲッツの遺作となったライブ盤は、スタン・ゲッツのテナー奏者としての大変優れた能力を再認識すると共に、伴奏者である、ピアノのケニー・バロンの決定的名演を捉えたライブ盤だと言える。

もっと言ってしまうと、ジャズという即興演奏が基本の演奏形態において、テナー・サックスとピアノの、それぞれの演奏の美しさと高いアーティスティック性を捉えた、素晴らしい内容のライブ盤である。

少なくとも、テナーとピアノのデュオという演奏フォーマットにおいては、この『People Time - The Complete Recordings』の内容を超えるデュオ演奏は、暫く無いだろう。

このCD7枚組のボックス盤は、全てのジャズ者の方々に、一度は聴いていただきたい内容です。ジャズの美しさ、ジャズの高い芸術性がギッシリと詰まっています。聴けば判る。ジャズ・テナーがこんなにも美しく優しい音色を出し続けるパフォーマンスの記録。素晴らしいライブ盤です。

 

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Fight_3
 
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