夏はボサノバ・ジャズ・その5 『Bossa Nova Soul Samba』
ブルーノートというレーベル(レコード作成会社とでも言いましょうか・・・)、このレーベルは、とっても、ジャズジャズしていて、黒くて、ファンキーで、アルバムデザインがとても渋くて、僕のお気に入りのレーベル。
ブルーノート・レーベルのレコードを眺めていたら、「おお、このアルバムを忘れておった」。ブルーノートは、ジャズの、その時代ごとのトレンドにビビットに反応したアルバムを製作しているが、このアルバムもそのひとつ。Ike Quebec(アイク・ケベック/写真右)の『Bossa Nova Soul Samba』(写真左)。
この『Bossa Nova Soul Samba』は、ブルーノートの4114番。1962年10月の録音。ボサノバ・ジャズ・ブームの真っ只中。ちなみにパーソネルは、ke Quebec (ts) Kenny Burrell (g) Wendell Marshall (b) Willie Bobo (ds) Garvin Masseaux (chekere)。
珍しい楽器として、chekere=シェケレとあるが、これは、西アフリカ起源の伝統的な民俗音楽の楽器で、大きな中空の瓢箪の周りに植物の種子・豆・ビーズ・貝などを通した網を編んで張り巡らせた打楽器(Wlkipediaより抜粋)。まあ、このアルバムでは主役の様な存在ではないので、このシェケレに関するコメントは割愛する。
さて、ゲッツのボサノバを、ポップスに寄った「ボサノバ・ジャズ」の典型的な例とすると、このアイク・ケベックのアルバムは、あくまで、ジャズの中でボサノバをやるとこうなる的な、いかにもブルーノートらしい、ボサノバ・ジャズのアルバムと言える。
まず、ケベックのサックスと、ケニー・バレルのギターが「黒い」。ゲッツのボサノバ・アルバムは「ブラジル」という感じだが、このケベックのボサノバ・アルバムは「米国東海岸」。
この「黒さ」の中で、ボサノバのアレンジ、フレーバーが、洗練された、インテリな雰囲気を醸し出して、なんとも言えず、味のある、品の良いアルバムに仕上がっている。
曲を見渡してもそうだが、ボサノバと聞いたとき、必ず、頭の中に浮かぶ名曲、先に紹介した「イパネマの娘」や「黒いオルフェ」、「ワン・ノート・サンバ」などを取り上げず、ドヴォルザークの交響曲第9番第2楽章の「家路」(とーおきやーまにひーはおちてーってやつ)、リストの「愛の夢」のようなクラシックの名曲を、ボサノバやサンバのフレーバーでアレンジしてみせる。
しかも、このアルバム全般に言えることなのだが、アイク・ケベックのテナーが素晴らしい。テナーのフレージングに聴き応えのある、オーソドックスな、それでいて、ボサノバ・サンバという、都会的な雰囲気を宿した、毎日流しても飽きない名盤と言えます。
晩夏のこの季節、夕食後に一杯やるときに、風呂上がりのあと、床に入るまでのひとときに、朝食の後の紅茶のひとときのBGMとして格好の名盤といえるのではないでしょうか。
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