夏はボサノバ・ジャズ・その4 『Getz & Gilberto, #2』
今日は、Stan Getz & Joao Gilbertoの『Getz & Gilberto, #2』(写真左)。タイトルからして、『Getz & Gilberto』(2008年7月5日のブログ参照・左をクリック)の続編か、アウトテイク集かと思いきや、ジャケットをよく見ると「RECORDED LIVE AT CARNEGIE HALL」とある。
そう、1964年10月9日カーネギーホールでのライブ盤です。ボサノバ・ジャズで大ブレイクした、テナー奏者スタン・ゲッツのピアノレス・カルテットと、ジョアン・ジルベルトとアストラッド・ジルベルトとの共演の2本立て。
ちなみにパーソネルは、スタン・ゲッツのピアノレス・カルテット = Stan Getz (ts) Gary Burton (vib) Gene Cherico (b) Joe Hunt (ds)。ジョアン・ジルベルトとの共演 = Stan Getz (ts) Gary Burton (vib) Joao Gilberto (g, vo) Gene Cherico (b) Joe Hunt (ds) Astrud Gilberto (vo)。
ピアノレス・カルテットとボサノバ・ジャズのカップリングなんで、安易な企画ライブ盤かと思いきや、どちらの演奏もなかなかの内容で聴かせてくれます。意外と、おまけの様なスタン・ゲッツのピアノレス・カルテットの演奏が、実に純ジャズしていて、良い内容です。
特に、硬質なクリスタルな音色で、印象的な和音が特徴のヴァイブはどっかで聴いたことが、と思ってパーソネルを見たら、若き日のゲイリー・バートンでした。納得。
主役のテナー、スタン・ゲッツも充実した演奏を繰り広げていて、ボサノバを題材としていない、ジャズ・スタンダード曲中心の演奏なんですが、その囁くような掠れるような音色は、なんだか、意識せずに聴いていると、ボサノバ・ジャズのような響きに聴こえて、純ジャズの結構ハードな内容ながら、耳に心地良いのが面白い。
5曲目「Samba Da Minha Terra」より、ボサノバ・ジャズのコーナーとなり、ジョアン・ジルベルトとアストラッド・ジルベルトが順番にフィーチャーされます。この頃は二人は夫婦だったんですよね。曲の合間のジョアンのMCのなかなか真摯で好感が持てます。特に、当時の細君のアストラッドが出てきてからのジョアンのMCは、ちょっと照れが入って微笑ましいです。
というのも、このライブ盤、曲間のMCもしっかりと収録していて、ライブ感抜群です。良いステレオ装置で、音量を上げて聴いていると、1964年10月9日のカーネギーホールのライブに立ち会っているような錯覚に陥ります。ジャズのライブ盤で、ここまで曲の間のMCを収録しているライブ盤は珍しいのですが、当時のライブの良い雰囲気が伝わってきます。
さすが、スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトとの共演の演奏は秀逸です。ライブ音源だけに、躍動感と緊張感が心地良い。ゲッツもジョアンも、アドリブの展開には、一発勝負的な気合いと意気込みがひしひしと感じられます。良い演奏です。
そして、アストラッド・ジルベルトのヘタウマでアンニュイな歌声が堪らない。決して、歌い手としてテクニックがあるとは思えない、アストラッドの歌ですが、その「揺らぎ」が良いんですね。乾いたセクシーさとでも言ったら良いのか、ボサノバの歌い手として、素晴らしい資質だと思います。
アルバム・タイトルに「#2」とあるので、二番煎じというか、安易な続編かと思って、タイトルを見ただけでは、ちょっと興ざめしてしまいそうな感じですが、どうして、その内容はなかなかのものがあります。カーネギー・ホールでのライブ盤。当時流行のボサノバ・ジャズと硬派な純ジャズを収録。いづれも夏の終わりにピッタリの、優しい雰囲気に惚れ惚れです。
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