夏はボサノバ・ジャズ・その3 『Eliane Elias Plays Jobim』
ブラジルの血が流れる、美貌のピアニスト(最近はボーカリストとしての比重が高いけど・・・)であるイリアーヌ。僕にとって、意外とお気に入りの女性ピアニストで、彼女のリーダーアルバムは、今でも時々、我がバーチャル音楽喫茶『松和』で流れています。
改めて、イリアーヌとは、正式な名前は「イリアーヌ・イリアス(Eliane Elias)」。1960年3月生まれなので、今年で51歳。ブラジル出身の女性ジャズ・ピアニスト、ヴォーカリストである。純ジャズから正統なボサノバまで幅広いジャンルをカバーする、マルチ・タレントなミュージシャンである。
そのイリアーヌのピアノ・トリオ盤で、初のボサノバ盤。タイトルは『Eliane Elias Plays Jobim』(写真左)。1989年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Eliane Elias (p)、Eddie Gomez (b)、Jack DeJohnette (ds)、Nana Vasconcelos (perc)。
邦題は『風はジョビンのように』。邦題を見ると「ああ、これは日本制作盤にありがちな企画盤やなあ」と思う。そう思いながら、全編ボサノバ一色な選曲を見ると、なんだか日本制作盤によくありがちな「企画臭さ」が鼻につく。が、肩の力を抜いた、リラックスしたイリアーヌの、エバンスライクなピアノと趣味の良いアレンジが「企画臭さ」をグッと薄めてくれる。
そして、バックでは、ベースのエディ・ゴメスが特徴のあるアコースティック・ベースでガッチリとサポートし、ドラムのジャック・デジョネットは硬軟自由自在にリズムをキープする。また、パット・メセニーのグループで有名になった、ナナ・バスコンセロスが表現豊かなパーカッションで、ボサノバ色を彩っていく。
こうやって改めて、バックのメンバーを眺めなおしてみると、凄いメンバーにサポートされて、イリアーヌはボサノバ・ジャズをやっているんだなあ、と、ちょっとビックリ。そして、このアルバムを通して聴くと、このボサノバ・アルバム、意外と実に硬派な内容なのだ。
本場のボサノバと言えば、ちょっとメロウで、ちょっと気怠く、ちょっと怪しい感じが良いんだが、このアルバムのボサノバ・ジャズは、そんなボサノバらしさが全く無い。「全編、ボサノバを題材にしているんですよ」と言われなければ気がつかないほど、硬派でストレート・アヘッドな内容なのだ。立派な純ジャズ系のピアノ・トリオの佳作といえる。
このアルバムを聴き通すと、メロウで、倦怠感溢れる、ちょっと怪しげなボサノバを、このように硬派にジャズするアルバムがあってもいいな、と思います。なにも、ちょっとメロウで、ポップで、聴き易いボサノバ・ジャズだけが全てでは無いでしょう。このアルバムを聴いて、ボサノバの名曲はどれもが美しい、ということを改めて再認識してしまいます。良いアルバムだと思います。
そうそう、最後に、このイリアーヌ、ブレッカー・ブラザースで名を馳せたトランペット奏者のランディ・ブレッカーの嫁はんでもありました(ちなみに、現在の夫であるベーシストのマーク・ジョンソン)。現在では、娘がジャズ・ボーカリストとしてデビューしています。
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