中堅ベーシストの優れたライブ盤
暑い暑いと言っていても始まらないので、爽快感溢れるライブ盤を。Christian McBride『Live At Tonic』(写真左)。
つい先日、ベーシストのリーダー作は難しいという話をしたが、当然、優れた盤もある。マクブライドはベーシスト。このライブ盤、重量感+爽快感溢れるコンテンポラリー・ジャズ。ロウワー・イーストサイドのライブハウスTonicでの2005年1月の3枚組のライブ盤である。
ちなみに、パーソネルは、Christian McBride (ac-g, el-g, ac-b, el-b), Jenny Scheinman (vln), Rahsaan Patterson (tp), Geoff Keezer, Jason Moran (p, key), Terreon Gully (ds); Scratch (back-vo), Eric Krasno, Charlie Hunter (g), DJ Logic (turntables)。
1枚目はマクブライドのバンドだけでの演奏。これが良い。メインストリーム・ジャズを基本としながらの、新しい響きを宿した上質なコンテンポラリー・ジャズとなっており、いかにも今風のジャズ、21世紀の純ジャズという雰囲気が実に格好良い。
マクブライドはリーダーとして、演奏の全体をしっかりと統率している。しかも、マクブライドの重低音ベースは、それぞれの演奏にしっかりとメリハリを付けている。意外と目立つマクブライドの重低音ベース。
2枚目はチャーリー・ハンターらをゲストに迎えたフリージャムっぽい演奏。これもまた良い。メインストリーム・ジャズというよりは、純ジャズの雰囲気を隠し味にしたフュージョン・ジャズという音が、これまた実に格好良い。
途中で、どこかで聴いたことがある、というか、かなり聴いたことがあるフレーズが出てくる。そう、これは「Bitches Brew」。マイルスの大名曲を21世紀のジャズメンが演奏する。良い雰囲気だ。さすが、ライブならではの面白さ。
3枚目はターンテーブルでのスクラッチなどを前面に押し出したクラブ系の演奏。スクラッチを大々的にジャズ化したのは、ハービー・ハンコック。1983年のことだった。21世紀に入ったこの演奏では、もうスクラッチには違和感は無い。
ただ、スクラッチは目に見えるパフォーマンスと相まって楽しさ倍増になるんだが、ライブ盤ではそのパフォーマンスは目にすることができないので、好くタッチの演奏が続くと、ちょっと冗長な感じがするのは仕方の無いことかな。でも、熱気はビンビンに伝わってくる。
総合的に聴いて、曲毎のアレンジがとても良く、マクブライドの優れたリーダーシップが見事。良いライブ盤です。
この『Live At Tonic』を聴いていて、こんな洒落たライブがNYでは、夜な夜な、ライブハウスで繰り広げられているんやなぁと羨ましくなった。よくよく聴いていると、相当、高度で内容のあるパフォーマンスばかり。これ、本当に凄いことです。
そして、このCD3枚組は実にリーズナブルなお値段。約2500円程度とはお買い得。ライブの様子を、いじることなく丸々収録しているようで、確かに手がかかっていない。それが、恐らくお買い得価格の理由なんだろうが、部分的に冗長なところがあるだけで、内容はかなり良い。よって、今風の、今のコンテンポラリーなジャズを体験するには打ってつけのライブ盤だと思います。
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