ビッグバンド・ジャズは楽し・12
変則拍子ビッグバンド・ジャズがお得意の「ドン・エリス楽団」。変態的な変拍子なのに、これがゴキゲンにスウィングする、とにかく不思議なビッグバンド・ジャズ。そして、大向こうを張った、メリハリの効いたアレンジ。どこから聴いても「米国のビッグバンド」という雰囲気が実に楽しい。
そんなドン・エリスが率いるビッグ・バンドの1973年作である『Soaring』(写真左)。時は「クロスオーバー・ジャズ」の時代。この『Soaring』でもクロスオーバーのテイスト満載。エレキギターとかエレキベースが入っていて、音のテイストは、かなりレトロなクロスオーバー・テイストのビッグバンド。
でも、これが僕は好きなんですね。趣味が良いんだか悪いんだか、よく判らないけど、このクロスオーバー・テイストなビッグバンドのレトロでちょっと「ダサイ」音が良い。
変則拍子がお得意のドン・エリス楽団だが、この1973年のロック全盛、ジャズ斜陽の時代、難しくない、一般の人達が聴いても判り易い、そして、しっかりと電気楽器中心のトレンドを反映した、クロスオーバー・テイストのビッグバンドに変貌している。
変則拍子を採用してはいるが、決して難しく無い、決してマニアックでは無い、その判り易さは、米国、ヤンキー音文化そのもの。とにかくシンプル、とにかく下世話、とにかく俗っぽい(笑)。でも、このあっけらかんとした判り易さも、当時の音のトレンドを反映していて、しっかりと「レトロっぽい」ところは、実に好ましい(笑)。
演奏される曲を見渡しても、しっかりとエンタテインメントしていて、受け狙いの曲が並んでいる。アフロ・キューバン・タッチの変拍子ジャズ「The Devil Made Me Write This Piece」、アーシーなワウワウ・ギターをバックに激しくブロウする「Go Back Home」など、 ジャズロックなテイスト、ジャズ・ファンクなテイストがプンプン漂う、判り易くパンチ溢れるビッグバンド・サウンドが満載。
アレンジを駆使して、当時の音のトレンドだった「ジャズ・ロック+レア・グルーヴ」化した音は、とにかく「マニア好み」。硬派なビッグジャズ者の方々からは叱られそうなんだが、電気楽器とアタッチメントを活かしたクロスオーバーな音は、なかなかに味わい深い。1970年代前半の音が詰まっていて、実に懐かしく、実に楽しい。
さらりと判り易く流れる変則拍子ビッグバンド・ジャズが鮮やかである。レア・グルーブ感満載で、僕は時々、アルバム棚から引き出してきては聴いている。変則拍子が故だと思うが、一度、填るとなかなか抜け出ることの出来ない、媚薬の様な、電気化されたドン・エリス楽団である。
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