一番ジョー・サンプルらしい
名の通ったジャズ・ミュージシャンは、皆、スタイリストである。というか、「個性のかたまり」と表現したほうが適切かもしれない。必ず「ならでは」の個性があって、演奏を聴いて判別出来るようになると、ジャズ鑑賞は更に楽しくなる。逆に個性に乏しいミュージシャンは、聴いていて「つまらない」。
フュージョンの世界では、超絶技巧、テクニック優先、音の雰囲気優先なので、なかなかミュージシャン本人の個性まで及ぶことはなかなか無いんだが、それでも、中には、その人の演奏を30秒ほど聴いたら、それと判る、コッテコテの個性の持ち主はいる。
例えば、クルセイダーズのキーボード奏者ジョー・サンプルなんかは、コッテコテの個性の持ち主である。凄い時は、ピアノのフレーズ5秒ほど聴いただけで、なかなか判り難い時でも30秒ほど聴けば、そのフレーズを弾いているキーボーティストは「ジョー・サンプル」だと判るくらい、コッテコテの個性の持ち主である。
そんなジョー・サンプルの個性が、コッテコテ、てんこ盛りになっているアルバムが『Carmel』(写真左)。邦題「渚にて」。本来「Carmel」って、英和辞書を紐解くと「米国カリフォルニア州中部、モンテレー半島南部の町。芸術家の町として知られる」とある。それが邦題として「渚にて」になるのかぁ〜。1979年のリリースです。懐かしいなあ。
『Rainbow Seeker』で鮮烈なソロデビューを果たしたジョー・サンプルの第2弾。デビュー作の「Rainbow Seeker」が傑作の誉れ高いので、この第2作は割を食っているんだが、この2作目の『Carmel』の方が、ジョー・サンプルの個性がてんこ盛りで、僕はこの『Carmel』の方がイチ押し。
冒頭の「Carmel」の前奏を聴いただけで、ジョー・サンプル全開。どこから聴いたって「ジョー・サンプル」。このアルバムの収録曲の全てが、ジョー・サンプルのアレンジの個性満載。そして、このアルバム『Carmel』では、ジョー・サンプルの生ピアノが素晴らしい。このジョー・サンプルの生ピアノが、これまた「ジョー・サンプル」ならではのフレーズ満載なのだ。
グループのメンバーとして活躍していたクルセイダーズは、ファンキー・ジャズ路線。なかなか、リリカルでロマンチックな生ピアノは織り込むことは出来ない。このソロアルバムでは、クルセイダーズでなかなか出来ない、ジョー・サンプル節を存分に発揮している。それでも、リリカルでロマンチックなフレーズの底に、しっかりと「ファンクネス」が漂っているところが実に良い。僕は、その底に漂う「ファンクネス」に痺れる。
ジョー・サンプルを存分に感じたいのなら、この『Carmel』がイチ押し。コッテコテのジョー・サンプル満載ですから、体調の悪い時に聴いたら、結構、耳にもたれます(笑)。それほど、ジョー・サンプルが「てんこ盛り」。逆に、このアルバムで、ジョー・サンプルが好きになったら、恐らく、他のジョー・サンプルのソロアルバムは全て好きになると思います。
名の通ったジャズ・ミュージシャンは、皆、スタイリストである。ジョー・サンプルもスタイリストであり、個性の塊。特に、彼の生ピアノに、彼の最大の個性を感じます。良いアルバムです。ジャズ者初心者のフュージョン・ファンに絶対のお勧め。『Rainbow Seeker』と併せてお楽しみ下さい。
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