追悼・古澤良治郎さん
ジャズ・ドラマーの古澤良治郎さんが1月12日昼頃に虚血性心不全で逝去されました。65歳だったそうです。古澤良治郎さんは、1945年年仙台生まれ。板橋文夫や山下洋輔、渡辺貞夫などの錚々たるグループに参加したドラマーです。
古澤さんは、ジャズというフィールドに止まることなく、様々なジャンルのミュージシャンとのコラボを実現しています。浅川マキ、三上寛、リー・オスカー、吉田美奈子、上々颱風、忌野清志郎等々、所謂「異種格闘技」の様な他流試合を厭わない、柔軟な音楽性が特徴のドラマーでした。
僕は大学時代、その他流試合のひとつ、リー・オスカーとのコラボ盤に、とことん心酔しました。そのアルバムのタイトルは『あのころ』(写真左)。確か1981年のリリースだったと記憶しています。このアルバムはリリース直後に入手して以来、本当に良く聴いたアルバムです。特に冒頭の「今・春?」が大好きで、朝起きたら「今・春?」、大学から帰りついたら「今・春?」、夜、一息ついて「今・春?」って感じでしたね。
僕は、古澤良治郎さんのドスンと重心の低い、ユッタリとした、堅実なドラミングが大好きでした。大らかで、包み込むようなドラミングとでも言うんでしょうか、とにかくスケールが大きい。フロント楽器をしっかりとバッキングするという感じでした。
しかし、加えて、古澤良治郎さんのドラミングは、繊細な一面も持ち合わせています。この『あのころ』には、日本を代表するジャズ・ギタリスト、渡辺香津美も参加しているんですが、この渡辺香津美のソロのバックでの、古澤良治郎さんのドラミングは芸が細かい。渡辺香津美のソロを邪魔すること無く、バックで繰り広げられるドラミングは、きめ細やかなパーカション的なテクニックを駆使して、渡辺香津美のソロをしっかりと鼓舞しています。
フロント楽器をしっかりとバッキングするという感じのドラミングをバックに、ハーモニカのリー・オスカーも本当に気持ち良くハーモニカ・ソロを吹き続けていきます。古澤良治郎さんのドラミングは、ビートのメリハリが効いているので、フロント楽器は吹きやすいでしょうね。
フュージョン・ジャズにハーモニカが参入した、一種「異種格闘技」的なセッションなんですが、どことなく長閑で牧歌的な「ほのぼの」とした曲が多くて、聴いていてホンワカ幸せな気分に浸れます。ポジティブで明るい曲もあり、郷愁を誘うマイナーな泣きの曲もあり、演奏される曲の雰囲気もバラエティに富んでいて、決して飽きることはありません。
ジャズのジャンルの中に留まることなく、様々なジャンルにアプローチし、自由に、心のままに、その場面場面に合致した、機微に長け、即興性に富んだドラミングが素晴らしいミュージシャンでした。改めてご冥福をお祈りします。
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