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2010年11月 3日 (水曜日)

美しきフラグメンツ・まとめ

さあ、今日は、マイルス・ディヴィスが、黒人ボクサー、ジャック・ジョンソンをテーマとした映画のサントラのコンプリートBOX『The Complete Jack Johnson Sessions』の総括である。
 
このコンプリートBOXは全5枚組。Disc.1から順番に、その内容について語ってきた。その履歴は以下の通り(それぞれのタイトルをクリックして下さい)。
 
Disc.1 :「美しきフラグメンツ・1」8月26日 Disc.2 :「美しきフラグメンツ・2」9月8日 Disc.3 :「美しきフラグメンツ・3」10月20日 Disc.4 :「美しきフラグメンツ・4」11月2日  
このコンプリートBOXには、アルバム『A Tribute To Jack Johnson』の構成要素になるスタジオ・セッションのフラグメンツが「てんこ盛り」。しかも、それぞれのフラグメンツの内容が示唆に富む、演奏的にも内容のあるものになっている。
 
評論家筋では、どういう基準でこれらのフラグメンツを選定してCD化したのかが良く判らない、と評判が悪いが、選定基準をとやかく言うより、まずはこのフラグメンツが正式なボックスCDとしてリリースされたことを素直に喜びたい。ブートCDに追い逸れ手を出せない一般市民レベルの我々ジャズ者、マイルス者としては、とても有り難いリリースなのだ。
 
さて、『The Complete Jack Johnson Sessions [Disc 5]』であるが、冒頭から2曲目までが「The Mask Part.1」「The Mask Part.2」。この曲は、後のライブ盤『At Fillmore』で披露されるが、スタジオ・セッションのフラグメンツ編集版として、正式にリリース出来る状態にあるものは、今回が初出のはず。
 

Miles_complete_jackjohnson

 
つまり、この「The Mask」が、アルバム『A Tribute To Jack Johnson』に収録に予定される形で、プロデューサーであるテオ・マセロの手によって編集されてあったということになる。そういうことであれば当然、その内容は、アルバム『A Tribute To Jack Johnson』に正式に収録された演奏に勝るとも劣らない。
 
確かに、この「The Mask Part.1」「The Mask Part.2」は聴きものです。シンプルなビートを底に携えて、限りなくフリーにインプロビゼーションを展開しながらも、グループサウンズとしての「最低限の秩序」を維持しているところは、アルバム『A Tribute To Jack Johnson』に正式に収録された演奏と同一のコンセプト。この「The Mask」の2曲の方が、ビートが効いていて実にジャズ的。電子音的な効果音も含まれるところなどは実に前衛的です。この2曲は一聴に値します。
 
そして、「The Mask」の2曲以外の、後の残りの2曲は、アルバム『A Tribute To Jack Johnson』に正式に収録された、言わずと知れた2曲。LP時代のA面の全てを占めた「Right Off」、そして、LP時代のB面の全てを占めた「Yesternow」。
 
この2曲の素晴らしさは、今更ここで言うに及ばず。ちなみに、ここに収録された演奏は、アルバム『A Tribute To Jack Johnson』に正式に収録された演奏と同一です。コンプリートBOXの締めに、アルバム『A Tribute To Jack Johnson』に正式に収録された演奏を再収録するのは悪いことだとは思いません。
 
逆に、演奏フラグメンツばかりだと、あまりにコンプリートBOXが蒐集家御用達の演奏資料集の色合いが濃くなってしまうので、僕はどうかと思います。このDisc.5の存在は、このコンプリートBOXにとっては意味のあるものだと思います。頭2曲に「The Mask」2連発も付いていますしね・・・。
 
このコンプリートBOXは、エレクトリック・マイルスのコンセプトと構成を垣間見ることができる、追い逸れブート盤には手を出せない一般のジャズ者、マイルス者にとっては「福音」となるものだと思います。エレクトリック・マイルスが好きな一般のマイルス者の方々には是非一度は聴いて頂きたい逸品です。
 
 
 
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