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2010年10月 7日 (木曜日)

ハワイアンAORフュージョン

ようやく秋らしくなり、朝晩、実に涼しくなった。これだけ涼しくなると、やっと、積極的にフュージョンのアルバムを聴いてみようという気になる。ちょっとリズミックな曲を聴いても、汗ばむことも無い。

さて、そんな良い季節を迎えた我が千葉県北西部地方。さすがに夏のさなか、今年のような猛暑の夏には、決して聴こうとは思わない、リズミカルでメリハリの効いたビート、小粋なバッキングに印象的なボーカル。今朝は、ハワイ出身のフュージョン・バンド、シーウィンド(Seawind)のアルバムを聴いて「ご出勤」。

シーウィンドといえば、やはり4枚目のアルバム、A&Mレコード傘下のホライズン・レコードよりリリースされた『Seawind(邦題:海鳥)』(写真左)だろう。タイトルが『Seawind』というのは、デビューアルバムであるCTIレーベルからリリースされた同一タイトルがあるので紛らわしい。この4枚目のアルバムは、ここでは『海鳥』と呼ばせていただく。

この『海鳥』は、ジョージ・デュークをプロデューサーに迎えた、Seawindの4枚目。2曲目の「ふたりは風」という名演名曲に代表される、Seawindの出世作である。もともと、優れたホーン・セクションと女性ボーカルを抱えたフュージョン・バンドである。プロデュースひとつで大化けする可能性を秘めていた訳だが、さすがにジョージ・デューク、そのファンクさとAORの要素をたっぷり注ぎ込んで、なかなか一皮剝けないハワイアン・フュージョンバンド、Seawindを脱皮させた。
 
 
Seawind
 
 
残念ながら、このジョージ・デュークのプロデュースで話題となったアルバム『海鳥』を最後に、事実上の解散となってしまったことが、実に惜しまれる。

冒頭の「ホワッチャ・ドゥーイン」から、その重心の低いファンキーな音にハッとする。重心が低く、メリハリの効いた、タイトなファンク・ビートなんだが、ハワイ出身のバンドの特質が良い方向に作用したというか、極端に粘らず、黒くもならず、爽やかに、軽やかに、そよ風のように心地良いファンクネスを提供してくれる。爽やかで、軽やかで、当たりの柔らかなファンクネス。それが、Seawindの真骨頂。アルバム全編に渡って、Seawindならではのファンクネスが満載である。

ポーリン・ウィルソン(写真右・当時)の伸びやかで、健康的な色気溢れるヴォーカルが心地良い。ポーリンのボーカルが大々的にフィーチャーされているので、このアルバムは「AORではないのか」という向きもあるが、バックに流れるビートは紛れもない、ほんのり粘りのあるビートはジャズに源を発するもの。このアルバムは、フュージョン・ジャズの「優れたボーカルもの」と僕は解釈している。

非常に完成度の高いフュージョン・バンドである。クロスオーバーから端を発したフュージョン。このSeawindは、そのフュージョンにAORの要素をしっかりと組み入れ、当時、全く新しい世界を表現したSeawind。フュージョン者の方々であれば、この『Seawind(邦題:海鳥)』は必須アイテムですぞ。聴いたことがなければ、「オンラインショップに走れ」です(笑)。 
 
 
 
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