熱いぞ! エルビン・スクール
本業の方で、ちょいと大きな環境変化があった。まあ、悪い話じゃないので良いんだが、もしかしたら、今までのように、ほぼ毎日のブログ更新がしんどくなるかも・・・。でも、出来る限り、更新頻度は維持したいですね。毎日、のべ人数100人以上の方々が、訪れてくれてはるので・・・。
さて、ジャズ界の優秀なドラマーは、後進の有望な若手ミュージシャンを育てる役割の担うことが多い。その一番の例が、アート・ブレイキ−。アート・ブレイキー率いるジャズメッセンジャースは、時代時代の若手有望ミュージシャンの宝庫。ジャズ界の第1線で活躍しているミュージシャンの多くが、ジャズメッセンジャース卒業生だったりする。
1997年に亡くなったトニー・ウィリアムスの晩年もそうだった。前面に出て目立つことを控え、有望な若手ミュージシャンをバックから盛り立て育てる役割にやり甲斐を見出した時、トニーは神に召されてしまった。ジョン・コルトレーンの伝説のカルテット、コルトレーンの愛したドラマー、エルビン・ジョーンズも、一時期、後進の有望な若手ミュージシャンを育てる役割の担った時期がある。
エルビンの後進指導の素晴らしいところは、エルビンは全面的にコルトレーンを信奉しているにも拘わらず、エルビンの下に参集する後進の有望な若手ミュージシャンに、コルトレーンの様に演奏することを強制しないことだ。エルビンは、コルトレーンの「進取の気性」な、先進的な精神を踏襲することを、若手ミュージシャンに問うこそすれ、コルトレーンの様に演奏することを強いることはしない。
その熱い、熱血指導を体験できるアルバムの一枚が『Youngblood』(写真左)。ただただ、激しく熱く後進の有望な若手ミュージシャンを煽りまくる強烈なアルバムである。1993年の録音。ちなみにパーソネルは、エルヴィン・ジョーンズ (ds), ジョージ・ムラーツ (b), ニコラス・ペイトン (tp), ジャヴォン・ジャクソン (ts), ジョシュア・レッドマン (ts)。
パーソネルの中で目を惹く有望若手ミュージシャンは、ニコラス・ペイトン (tp), ジョシュア・レッドマン (ts)の二人。この二人の有望若手ミュージシャンのパフォーマンスが、この『Youngblood』のハイライト。二人とも、限りなく自由に、限りなくイマージネーション豊かに、緩急自在、硬軟自在にソロ・フォーマンスを繰り広げる。
その有望若手ミュージシャン二人を煽る役割は、リーダーのエルビン・ジョーンズの役割。そして、煽られまくる有望若手ミュージシャンを、ガッチリと底辺で支えるのが、ジョージ・ムラツの「ド太い」ベース。
ジョージ・ムラツのベースがガッチリと演奏の底辺を支えてくれるので、有望若手ミュージシャン二人は、エルビン親分に颯爽と立ち向かうことができる。実にエモーショナルな、実に感動的なインプロビゼーションがこのアルバムには詰まっている。
但し、エルビンにも欠点はある。エルビンにあって、ジャズ界のミュージシャン育成のゴッド・ファーザー、アート・ブレイキーに無いもの。長尺のドラムソロである。ブレイキーいわく「ドラムソロほど、聴き手にとってつまらないものは無い」。確かにその通りで、僕も、ドラマーの自己顕示欲の塊の様な、長尺のドラムソロは無用の長物と思う。ドラマーの真価は、ドラムソロを聴かなくても、フロント楽器のバッキングだけで良く判る。
この『Youngblood』にも、エルビンの無用の長尺ドラムソロが何ヶ所かあって、それには閉口するが、それを差し引いても、ニコラス・ペイトン (tp), ジョシュア・レッドマン (ts)の二人のパフォーマンスが素晴らしい。「熱いぞ! エルビン・スクール」と声をかけたくなるような、熱気溢れる素晴らしいパフォーマンス。良いアルバムだと思います。
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