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2010年6月19日 (土曜日)

美人ベーシストの出現である

ジャズはまだまだ進化している。ジャズは、まだまだバリエーションが深化している。そして、この5〜6年、女性ジャズ・ミュージシャンの台頭が著しい。これは何も日本に限ったことではない。米国でもその傾向にある。

エスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)。ベーシストである。先入観無く聴いたのだが、強靱なビート、歌うようなベースライン、モードもコードもなんでもござれ。それでいて、そこはかと無い繊細感。その繊細感が何故か気になる、う〜ん、と思いながら、アルバム・ジャケットを見て至極納得。

そのアルバムとは、エスペランサ・スポルディングのデビューアルバム『Junjo』(写真左)。そのベーシストの横顔たるや、いやはや、かなりの美人ベーシストと見た。う〜ん、やっと21世紀になって、遂に出てきたのか、女性ジャズ・ベーシストが・・・。しかも、かなりの実力者である。う〜ん、時代が変わりつつあるなあ。繊細感は女性ならではの資質から来るものだったのか〜。

このアルバムの内容はなかなか充実している。エスペランサ・スポルディングは歌も歌える。スキャットも正統な歌唱もOK。歌えるベーシストである。この歌の部分もなかなかの才能なのだ。う〜ん面白い。しかも、ベース自体のテクニックも本格的。

アルバム冒頭の「The Peacocks」を聴くと、現代のジャズ、コンテンポラリーなジャズをしっかりと感じる事が出来る。まず、演奏の質がしっかりしている。というか、かなり先進的な内容をしているところが「ミソ」。音が新しい。ベースのビートが先頭を走りながら、次々と出てくるフレーズは新鮮な響きがする。 
 

Spalding_junjo

 
このバンドの、そして、リーダーの才能が十分に発揮される演奏が、3曲目の「Humpty Dumpty」。チック・コリアの名曲を、しっかりとその曲の個性を引継ながら、自分達の音を織り交ぜつつ、実に新鮮に響かせてくれている。この冒頭の1曲目から3曲目までの演奏を聴いて、このエスペランサ・スポルディングの作編曲面については、チックのフォロワーであることを感じさせてくれる。

ボーカルとは言っても、スキャット中心なのですが、唯一、ちゃんと歌っているのが、7曲目『Cantora De Yala』は、 スポルディングのベースのみの弾き語り(!)による、暖かな日だまりの様な、ほんのり暖かで、芯はしっかりと通った、意外と硬派な内容。ジャズ・ベーシストの弾き語りは、僕は初めて体験しました。スキャットについては、ジャコ・パストリアス御大の前例があるんですが・・・。

最近、最新のコンテンポラリーなジャズを感じさせてくれる佳作です。実は密かに最近感じているのですが、作編曲を中心に、チック・コリアのフォロアーが出始めているのではないかと。特に、女性ジャズ・ミュージシャンにその傾向が強い。チック・マニアの私にとっては実に良い傾向ですね。やはり、良いものは良い。これからもどんどん増えてくるのではないか、と睨んでいます。

アルバム・ジャケットの横顔写真が実に良い雰囲気を伝えてくれています。ジャケット良し、内容良し。美人女性ジャズ・ミュージシャンということを全く無視して、純粋に新進ジャズ・ベーシストとして、作編曲家として、エスペランサ・スポルディングは期待の新人といえるでしょう。これからが楽しみです。 
 
 
 
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