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2010年6月10日 (木曜日)

この売り方はないやろ〜、と思う

昨日、マイルス・デイヴィスの『'Round About Midnight』をご紹介した。この『'Round About Midnight』は、さすがに名盤なんで、かなりの回数、再発されている。よって、ネットショップを覗いてみると、輸入盤を含めて、今でも数種類の再発盤が「在庫あり」の状態で並んでいる。

この状態だと、ジャズ者初心者の方々って、どのCDを購入して良いやら、迷いに迷うでしょうね。一番安いやつ、と思ってみても、安かろう悪かろうという言葉が頭をよぎるし、といって、なぜか2枚組の「レガシー・エディション」って、なぜ2枚組なのか判らないし、なんだか割高っぽいし・・・。

このレガシー・エディション(日本盤はなぜか「スペシャル・エディション」と銘打たれている・笑)ってヤツが曲者中の曲者でして、このマイルス・デイヴィスの『'Round About Midnight』は、CD2枚組、収録曲は以下の通り。

Disc1
1. 'Round Midnight
2. Ah-Leu-Cha
3. All of You
4. Bye Bye Blackbird
5. Tadd's Delight
6. Dear Old Stockholm
7. Two Bass Hit
8. Little Melonae
9. Budo
10. Sweet Sue, Just You

1957年3月リリース当時、アルバムに正式に収録されていた曲は、Disc 1の1曲目〜6曲目まで。ちなみに、LPのA面は1曲〜3曲目、B面は4曲目〜6曲目。Disc 1の7曲目~10曲目は、当時、アルバム収録を見送られたボーナストラック。つまり、7曲目〜10曲目は、正式盤の『'Round About Midnight』には収録されていなかったんですね。ジャズ者ベテランは、この正式盤の『'Round About Midnight』の部分は、ほとんどの方が既に所有しておられると思います。
 

Round_midnight_legacy

 
Disc 2 (Live)
1. 'Round Midnight
2. Introduction
3. Chance It (aka Max Is Making Wax)
4. Walkin'
5. Gene Norman & Miles Davis
6. It Never Entered My Mind
7. Woody 'N You
8. Salt Peanuts
9. Theme

Disc 2の1曲目は、1955年7月17日のニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ。マイルスが、麻薬禍からの復活の狼煙を上げた、伝説のライブ。ここでは、マイルスは、ミュートでは無く、オープンでペットを吹いています。これもなかなか味わいがあって良いですけど・・・。

ちなみに、この1曲目の「'Round Midnight」は、メンバーが凄くて、マイルス以外のメンバーが、ズート・シムズ、ジェリー・マリガン、セロニアス・モンク、パーシー・ヒース、コニー・ケイと豪華絢爛。ちなみに司会がデューク・エリントンだそうです。ジャズ者マニアには垂涎の音源ですね。

Disc 2の2曲目~9曲目は、1956年2月18日のパサデナでのライブ。8曲いずれも未発表トラック。このライブを聴くと、演奏内容もまずまず整っていて、コンサート・ライブとしては、十分に聴けます。マイルスはもとより、メンバー全員の演奏能力が高いことが良く判り、プレスティッジのマラソン・セッションが、スタジオ・ライブの、ほとんど一発録りだったことも頷けます。

でも、このDisc 1のボーナストラックとDisc 2のライブ音源は、出来としては中程度のもので、ジャズ者初心者の方々、ジャズ者中級者でもマイルスに特別の思い入れの無い方々には、あまりお勧めするものでは無いと僕は思います。マイルス者の方々にはマスト・アイテム、コレクションの対象にはなると思いますが・・・。

特に、Disc 2のライブ音源は、オリジナル盤とは別に、「バラ」で発売するべきものだと思います。Columbia/Legacyは、ちょっと商売っ気が過ぎますね。US盤では1500円程度なので、まだ許せる気がしますが、日本盤では3500円程度もして、日本のレコード会社は、更に商売っ気が過ぎます。ちょっと酷いですね。この価格設定は・・・。この売り方はないやろ〜、と思います。

マイルス・デイヴィスの『'Round About Midnight』は、通常盤が一番。US盤もライナーノーツ(解説シート)が無いだけで、音は全く同じですから、手軽にマイルス・デイヴィスの『'Round About Midnight』を楽しむには、US盤が良いですね。1000円以下で手に入るみたいなので、いや〜良い時代になったものです(笑)。  
 
 
 
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