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2010年6月 4日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・17

昨日、ゴルソン・ハーモニーについて語った。ゴルソン・ハーモニーの主は、テナー奏者のベニー・ゴルソン(Benny Golson)。そんなベニー・ゴルソンの実に渋い、実にハードバップらしいアルバムがある。ジャズ盤の紹介本では、決してお目にかからない、そんなマニアックなアルバムである。

今日は「ジャズ喫茶で流したい」シリーズの第17弾。ベニー・ゴルソンのマニアックな一枚をご紹介する。そのアルバムの名は『Gettin' With It』(写真左)。1959年12月の録音。ベニー・ゴルソンのリーダー3作目。ちなみにパーソネルは、Curtis Fuller (tb) Benny Golson (ts) Tommy Flanagan (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)。

メンバーにしっかりと盟友のトロンボーン奏者、カーティス・フラーが名を連ねている。となると、このアルバムもゴルソン・ハーモニーが堪能できるアルバムだと想像がつく。そして、ピアノは伴奏の名手トミー・フラナガン、そして、ドラマーは、当時ファースト・コール・ドラマーの一人、アート・テイラー。ベースは早逝が惜しまれる、重厚堅実なベーシスト、ダグ・ワトキンス。パーソネルを見渡すだけで、このアルバムは、ジャズ本などでは、ほどんど挙げられることは無いけれど、その内容が期待できる、って感じのメンバー構成。

期待にたがわず、1曲目の「Baubles, Bangles and Beads」から、ドップリと絵に描いた様なハードバップな演奏が繰り広げられている。しかも、ミッドテンポで、コード進行が実にジャジー。加えて、魅惑のゴルソン・ハーモニーが炸裂する。これぞハードバップ、これぞジャズという演奏が心地良い。

全編に渡ってポイントは、やはりベニー・ゴルソンとカーティス・フラー中心に展開される「ゴルソン・ハーモニー」の響き。トロンボーンのホンワカ、ボワンとした響きと、ベニー・ゴルソンのウネウネ、ボヨヨンとしたテナーが実に良い相性。ゴルソン・ハーモニーは、ゴルソンのウネウネ、ボヨヨンとしたテナーの音を活かすことの出来る、あくまで、ゴルソンのテナーの為のハーモニーであることが良く判る。
 

Bennygolson_gettin_with_it

 
ジャズ・テナー単体で考えると、ゴルソンのテナーは決して誉められたものでは無いと、常々思っている。でも、ゴルソン・ハーモニーを奏でる場合、ゴルソンのテナーのウネウネ、ボヨヨンとした音が最適になるのだがら、ジャズは面白い。しかも、ベストな組合せは圧倒的にトロンボーン。特に、ホンワカ、ボワンとしたフラーのトロンボーンの響きが最適。ジャズって相性がとても重要だということが良く判る。

実にリラックスした内容の佳作である。フロントの2管が良質のゴルソン・ハーモニーを供給し、その勢いを受けて、それぞれのソロも充実。それをサポートするフラナガンのピアノも力強く優雅、ダグ・ワトキンスのベースは堅実堅守。そして、全体を取りまとめ、しっかりとグループサウンド全体を引き締める、名手アート・テイラーのドラム。メンバー全員がアルバム全編に渡って、リラックスしながらも、実に内容の濃い、派手では無いが地味に職人芸的テクニックを繰り広げている。

何しか聴いていて心地良いこと「この上無し」。ゴルソン&フラーのフロントにフラナガンのピアノとくれば名盤『ブルースエット』を思いだすが、どちらかと言えば『ブルースエット』は全編がキャッチャーで大向こう狙い。

でも、この『Gettin' With It』は、演奏する自分達が楽しめる、実にミュージシャンズ・アルバム的な世界。売れようとも思っていないし、受けようとも思っていない。ミュージシャン達自らが楽しむために演奏したジャム・セッションをひっそりと録音してアルバム化したような、シンプルで素直で小粋な音世界。

アルバム・ジャケットも実に渋い。Prestigeの傍系レーベルのNew Jazz からのリリースとは思えない、実に渋くて、実にジャジーなアルバム・ジャケット。このアルバムから出てくる音は、このアルバム・ジャケットから受ける印象と全く同じ音が出てきます。実にジャジーで実にハードバップな、穏やかで優しい音が素晴らしい。ゴルソン・ハーモニーの面目躍如です。
 
 
 
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コメント

初めまして。

ジャズ関連のブログをよく読んでいてこちらのブログにたどり着きました。

趣味でサックスをやっていて、今は色々なジャズ音楽に触れていたい感じです。

なので、とても参考にしています。

それと、僕自身も簡単ではありますが、ジャズの紹介等をブログで行っています。

もし御迷惑でなければ、僕のブログでこちらで紹介した曲を紹介させていただき手もよろしいでしょうか?

もちろん、こちらのブログで紹介していた旨は記載します。

どうぞよろしくお願いいたします。

そして、これからも色々と勉強させてください。


はじめまして、nobuuuunさん。松和のマスターです。

趣味でサックスをやっていらっしゃるとは羨ましいですね〜。楽器を演奏
する実感を持って、ジャズを聴くことができるのが、最大の利点ですね。

>御迷惑でなければ、僕のブログでこちらで紹介した曲を
>紹介させていただき手もよろしいでしょうか?

結構ですが、著作権や知的所有権に十分気を付けて、ご紹介下さいね〜。

それでは、また・・・。
 
 


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