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2009年9月30日 (水曜日)

あっけらかんとしたフュージョン

さて、2日続けて、コルトレーンを聴いて、ちょっと耳にもたれた。そりゃあそうだろう。インパルス時代のコルトレーンを立て続けである。モード+フリーの超弩級のテナー・ブロウの嵐。そして、怒濤のようなリズムセクションの響き。心地良い気分ではあるが、ちょっと疲れた。

そういう時は、あっけらかんとしたフュージョンが良い。ただただ、ひたすらに爽やかに疾走する、電気楽器中心のフュージョンが良い。でも、デジタル臭さが強い、打ち込み中心なフュージョンは疲れる。アナログっぽい、デジタル臭さを押さえた、上質のフュージョンが良い。

そんなこんなで選んだアルバムが、マイク・スターン(Mike Stern)の『Jigsaw』(写真左)。マイク・スターン4枚目のリーダー・アルバム。1989年のリリースである。これが、なかなかに、あっけらかんとした、ただただひたすらに爽やかに疾走する、電気楽器中心のフュージョンなのである。

マイク・スターンとは誰か。1953年生まれのジャズ・ギタリスト。マイルス・デイヴィスが1981年にカムバックした際、ギタリストとして抜擢されて注目を浴びた。ジミヘンのように、ディストーションの効いたサウンドが格好良かった。

この『Jigsaw』、パーソネルを見渡すと、フュージョン・ファンのみならず、期待でドキドキする。Mike Stern (g), Bob Berg (ts), Michael Brecker (Akai EWI), Jim Beard (key,syn), Jeff Andrews (eb), Peter Erskine (ds), Dennis Chambers (ds), Manolo Badrena (bongos) 。いやいや、当時の若き精鋭たちがズラリ。これだけのメンバーが集えば、その演奏内容については良いに決まってる。
 

Jigsaw

 
収録されたどの曲も良い内容です。主役のマイク・スターンのギターは端正で、ジョンスコ(ジョン・スコフィールド)やジョンアバ(ジョン・アバークロンビー)ほど捻れていない。どちらかと言えばロックのギター・インストがベースだろうか。

でも、ロックほどメリハリ効いて受け狙いではなく、ロックほど下世話でない。やはり根底に流れているのはジャズで、テクニックは優秀、インストの底にブルージー&ファンキーな雰囲気が見え隠れする。実にスマートでお洒落なギター・インストである。

加えて、1989年の録音ながら、デジタル臭さが押さえられて、アナログチックな音の響きがなかなか。しかも、ボブ・バーグの、モーダルでややフリーキーなテナー・ブロウが入ると、一気にジャズ色が濃くなるところが素敵である。マイケル・ブレッカーの「Akai EWI」のブロウが入ると、一気にファンク色が濃くなるところが実に「ニクイ」。

マイク・スターンだから、電気楽器中心のデジタル・フュージョンでしょう、なんて、いきなり敬遠するようなアルバムでは無い。フュージョンではあるが、そこはかとなくジャズの香りも漂い、アナログチックで硬派なミュージシャンシップが見え隠れするところが実に良い。フュージョンの好盤である。純ジャズの合間の気分転換に好適なフュージョンの佳作である。
 
 
 
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